シティポップ、純喫茶、銭湯などのレトロブームに、新たな潮流を見いだそうとする男性がいる。都内在住で30代の会社員、トイレで踊る人さんは、レトロなコインランドリーを愛好し、このほど小冊子「30分でなんとか乾かしたい〜コインランドリー探訪記〜」を発行した。14日に都内で開催された「コミックマーケット100」にサークル参加し、「知り合いしか来ないと思っていましたが、予想以上の人が手に取ってくれた」と、手応えを口にした。

 コインランドリーならぬ「コイソラソドリー」の看板、店名がなく乾燥機のみが設置された店、建物内の元駐車場に洗濯機が置かれた店、コインロッカーと共存する店、土足厳禁の店など、主に都内の変わり種でどこか懐かしい構えの店が紹介されている。トイレで踊る人さんは「儲かりそうだと、もてはやされる新しいものではなく、よく言えばレトロな、悪く言えば時代に取り残されたコインランドリーに魅力を感じます。下宿する学生や家庭が日常的に利用した思い出が、ウナギのたれのように積み重なっているような気がします」と、魅力を語った。

 10年程前からうどん、ハンバーガーなどのレトロ自動販売機に関心を寄せ、同人誌を作成してきた。約4年前に洗剤の自販機が気になり、コインランドリーを訪ね歩いた。最近のコインランドリーは全自動で洗剤が注入されるため、必然的に古い店を巡ることになり、その翌年からレトロな店舗そのものが関心の対象になった。「洗剤の自販機が故障していたり、自分で照明のスイッチを入れなくてはならない店も多いが、そこも味わい深い」と笑った。

 最もインパクトのある店は、東京・文京区で発見したコインランドリーだった。散歩中に偶然、照明が異様に落ちた飲料用自販機が目に入った。幅1メートルほどの狭い建物入り口を挟む位置に2台が設置されていた。「やけに暗い自販機だなと気になったら、入り口の奥にぼんやり乾燥機が見えたんです。あっ、ここにまさかっ、と思って踏み込んだら、おばあちゃんが洗濯物を取り込んでいました」。店内には洗濯機が4台、乾燥機が3台(うち2台が故障中)、洗剤用自販機が2台(ともに故障中)。「ブレーカーが落ちるのか、乾燥機1台と洗濯機2台以上の同時使用を禁ずる張り紙がありました。そして、この店はGoogleストリートビューで見ることができません。普通に歩いていたら絶対に見つけられません。比喩ではなく、隠れ家のようでした」と、興奮した口調で語った。

 コミケで頒布された冊子には、これら計13店舗を紹介。「今は自分の生活範囲内、主に下町をまわっています。いずれはより遠く、山陰地方のコインランドリーを見てみたいですね。レトロ自販機界で、群馬に続く日本で2番目の場所が山陰。面白く魅力的な店があるような気がします」と語った。

(よろず〜ニュース・山本 鋼平)