ギャグ漫画の中で、今も根強い人気を誇っている“不条理ギャグ”。意表を突くオチから、世界観自体に狂気性を感じる作品まで、その流れを踏襲する作品は現在も多い。その中で、全くの異業種から漫画業界に足を踏み入れ、読者の心に違和感を植え付けるようなシュール系ギャグ漫画が一部で熱狂的に支持を受けている。

 作者は、ヒロ・コトブキさん(@kotobuki_hiroju)。バンドマンとして活動し、音楽の世界で成功する夢を見ながら42歳でバンドは解散。その後、新たな夢を追いかけて、漫画創作の道に歩みを進めた異色の漫画家だ。独特の世界観から生まれるギャグ4コマは、一度ハマると抜け出せない中毒性が魅力で、続々とファンを増やし続けている。そこで今回は、ヒロ・コトブキさんにメールで取材を行い、これまでの歩みや創作にかける思いについて話を聞いた。

 バンド解散という憂き目にあい、はからずも漫画家として再スタートを切ることになった、ヒロ・コトブキさん。これまでの経歴とは無関係と思える漫画の世界に飛び込み、ギャグ4コマをテーマにした理由とは何だったのだろうか。「なにしろ放っておいたらどこまでもダラダラしちゃう人間なので、はじめに何かを毎日する“宣言”をしなくちゃ『コイツはやらねえぞ』と考えました。毎日と付けてしまったらもう僕のなかでの選択肢は4コマしか思いつかなかったです。42の歳からはじめるので、他の人よりもうんと努力しなくちゃと思って格好つけていたのに、扉を開いてみたら涼しい顔でそれをやってのけてる方ばっかりで、扉をそっと閉めそうになりましたけど(笑)」

 漫画家や芸人、詩人のほか、ジャンルを飛び越えたさまざまな人物から影響を受けたというコトブキさんの作品はどれも笑いへの貪欲さが凄まじい。なかでも、作品ごとに付けられるタイトルひとつにとっても手を抜くことはない。「『すぐ寝よ』『取りたい男と取りたくない男たち』など……卑怯なことをしているなと思っています。だって5コマ目ですもんねアレ(笑)」。また、作品に流れる心地よい違和感も大きな特徴だ。コトブキさんは言う。「“ライトな絵”と“狂気やカオス”のギャップ。“ポップ性”と“不条理や不道徳”のバランスの悪さ、みたいなものが大好物なんだと思います」

 今後の展望について質問すると、期待せずにはいられない回答をしていただいた。「読んでくださっている方から離れすぎないように勝手に締めていたネジを、もう1つ外して描いてみたいと最近、考えています。歳を重ねると話を整えるとか、つじつまをあわせてごまかすのとかが上手になってきちゃうのを、いちど引き剥がして描いてみたいです。伏線も脈絡も教訓も(できる限り)無いモノや、切り取るほどじゃない人生の断片みたいなモノ、ですね」。歳を重ねるほどに狂気性が増す、そんな作品に出会える日が待ち遠しい。

(よろず〜ニュース特約・橋本未来)