1960年代の最盛期には大阪・道頓堀を中心に関西で23店舗をかまえた甘栗の老舗「樂天軒本店」は、長年の経営不振から、今年1月、大阪・あべのハルカスの直営店を閉店し、現在は大阪高島屋内の1店のみを実店舗としている。倒産危機から脱却するため、このほど、洋菓子に初挑戦。フランスの老舗栗専門店とコラボし「マロンバターサンド」を発売した。

 創業124周年の甘栗ブランド「樂天軒本店」は赤い紙袋で知られ、かつては大阪名物として鳴らしていた。創業した明治時代は、天津甘栗が日本で珍しがられていた頃。同ブランドを現在運営するRAKUTENKEN株式会社の坂口竜一代表によると、中国産の栗は限られたルートでしか輸入できず「数社独占販売みたいな感じ」で成長していったという。

 1965〜75年頃の「最盛期」には、大阪、京都、和歌山などに23の直営店があった。創業時から変わらない赤いパッケージは「大阪だったら誰でも知っている赤い袋」として親しまれてきた。

 しかし、1995年頃から経営が下り坂に。中国の法改正で多数の企業が天津甘栗を輸入できるようになり、独占的な立場を失ったことが要因だという。さらに、手が汚れない「むき甘栗」などの新商品が市場に現れ、時代の変化に対応しきれなかった。「きわめつけはコロナ。あれがトドメですね」。当時残っていた2つの直営店は百貨店内にあり、コロナ禍の休業などで大打撃を受けた。

 2021年に、ネット販売ノウハウを持つ「ライズクリエイション」がブランドを買収し再スタート。坂口代表は「正直、倒産するようなところまでいっていた」と振り返る。「今までは歴史をうまく生かしきれていなかった。約120年の歴史と知名度があるのに『古臭い』になってしまっているんです。もったいない。『古き良き』を生かして進化しないと」。

 今月1日から通販サイト・Amazonで本格発売した「マロンバターサンド」は、100年の歴史を持つフランスの栗専門店「アンベール」のマロンペーストと樂天軒本店の天津甘栗を使用した洋菓子。「プレーン」「アイリッシュコーヒー」「ゆずマロン」の3種がある。2月にクラウドファンディングサイトで行った事前予約企画では、受付開始から約35分で目標額の20万円をクリア。目標比865%の支持を受けるほど期待された。 

 今後は栗に砂糖を絡めた「甘栗納豆」などリニューアル商品の発売も予定する。坂口代表は「昔ながらの商品の売り上げをしっかり作りながら、プラスアルファで今の時代に合わせた商品開発をしていく。もう一度、樂天軒の名前をみなさんに知ってもらえるようにやっていきたい」と話した。 

(よろず〜ニュース・今井 佳奈)