尼崎市には北から阪急線、JR線、阪神線の順に、東西に往来する鉄道が3本走っている。特に阪神線はまるでバス停並の間隔で最多の6駅を有し、市民の足として愛されているが、中でも武庫川駅は異彩を放っている。なんとこの駅、二級河川・武庫川の真上にあるのだ。そして尼崎市とお隣の西宮市の市境にまたがっている。

川の上や市境に駅を作るとなると余計なコストや手間がかかりそうなもの。何故、こんな所に駅が出来たのか…阪神電気鉄道株式会社の広報担当者にお話を聞いてみた。

「開業当時の1905年時点では、尼崎市側にありました。武庫川の河川改修事業の際に川の上への移設の案が出たんです。昭和初期に、武庫川駅は川の上に移設されました」

当初の武庫川駅は尼崎市側からしか乗ることが出来ず、西宮市民にとって非常にアクセスの悪い駅だったそう。また、武庫川の河川工事に際し、駅の移設先の用地買収が思うようにいかず、諸々を一気に解決するのが川の上に作るという方法だったそうだ。

ところで尼崎市民の筆者は、武庫川駅といえばBBQを思い浮かべる。今20代以下の方にはピンと来ないかもしれないが、花見のシーズンなど武庫川の川辺では頻繁にBBQがおこなわれていたのだ。2015年に尼崎が社会実験として武庫川河川敷緑地の大半をBBQ禁止区域に設定(2021年に全域で禁止)してからは、すっかり見かけなくなってしまったが…。

2019年に尼崎市がこの社会実験について沿川住民にアンケートを取った。「煙やゴミへの苦情が目立った」「結果的に良くなった」という賛成意見が3割ほどで最多だったので、BBQ禁止は政策としては妥当だったのかもしれないが反対意見もいくつかあった。「歩いて行けるほどの近くでBBQ出来るメリットも考慮して家を購入している為」と書いた人は、さぞかし悲しんだ事だろう。

今、武庫川で合法BBQをするとなると「武庫川渡船バーベキュー広場」を利用するほかない。筆者も一度利用したのだが、武庫川駅から施設へ連絡すると間も無く送迎バスがやってきて武庫川河口の海のすぐ前まで連れて行ってくれる。

機材、食材が用意されているので手ぶらで大丈夫(※サービスによっては要予約)。併設された釣り場で魚を釣って焼いて食べることもできる。大阪、神戸方面からも好アクセスの穴場BBQスポット「武庫川渡船バーベキュー広場」。ご興味ある方はぜひ阪神電車に乗って遊びに来て欲しい。