コロナ禍で収入が途絶え、借金が返せなくなった、一人暮らしで生活費が足りず、少し借りただけのつもりが利息が膨らんだ、住宅ローンが払えなくなり、このままだと家を失ってしまう等、お悩みは様々だと思います。債務整理には大きく分けて任意整理、個人再生、自己破産の3つの手段があります。自己破産のメリット・デメリットについてお話しします。

 まず、自己破産とは、借金の返済が不能である場合に、裁判所に返済義務を免除してもらうことを言います。自己破産は最終手段ではありますが、支払いに追われることがなくなる=借金が0になるという意味で、自己破産の最大のメリットはここにあると言っていいでしょう。

 一方で、一度は返すと約束したものを返さなくてよくするのですから、複数のデメリットがあります。

 第一に、信用情報に傷がつくということです。いわゆるブラックリストです。これにより、7〜10年間は新たに借り入れをしたり、ローンを組んだり、クレジットカードを作ることができません。スマホを機種変更する際に、月々の利用料金に加えてスマホ本体の分割払いをする方も多いと思いますが、これも結局ローンですから7〜10年間はこのような買い方ができません。

 第二に、手放さなければならない財産があるということです。破産者が持つ財産を処分してお金に換え、債権者に平等に分配(配当)し、それでも足りない部分について免除してもらうというのが自己破産の原則ですから、生活に必要な財産以外は手放す必要があります(詳細は次回解説します)。

 第三に、自己破産手続中は職業が制限されます。警備員や生命保険募集人、損保代理店などの職業に就くことはできません。

 第四に、自己破産手続中は、裁判所の許可を得ずに引越しや長期旅行はできません。

 第五に、「官報」に掲載されます。「官報」とは政府が発行する雑誌のようなもので、確かに一般的には誰も見ないのですが、公的発行物であることは確かです。

 このほか、いくつかの決まり事や、そもそも自己破産の申立自体が煩雑で面倒という壁もあります。お困りの際はお近くの弁護士等にぜひご相談ください。

◆平松まゆき 弁護士。大分県別府市出身。12歳のころ「東ハトオールレーズンプリンセスコンテスト」でグランプリを獲得し芸能界入り。17歳の時に「たかが恋よされど恋ね」で歌手デビュー。「世界ふしぎ発見!」のエンディング曲に。20歳で立教大学に入学。芸能活動をやめる。卒業後は一般企業に就職。名古屋大学法科大学院入学。15年司法試験合格。17年大分市で平松法律事務所開設。ハンセン病元患者家族国家賠償訴訟の原告弁護団の1人。