「経歴詐称」に「株価操作疑惑」などこれまで数々のスキャンダルが報じられてきた韓国の“美しきファーストレディ”金建希(キム・ゴンヒ)大統領夫人。じつは2023年12月を最後に、2か月以上にわたり公に姿を見せていません。その背景にあるのが賄賂として高級ブランドバックを受け取ったという疑惑です。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は 2月7日に放送された番組でようやく この“ブランドバッグ疑惑”について言及しましたが、この釈明放送がまたしても批判の的に。さらには、外交にまで影響しているといいます。一体なにが起こっているのか?韓国情勢に詳しい龍谷大学の李相哲教授が解説します。

金建希大統領夫人の“ブランドバッグ疑惑” もらった相手は「北朝鮮の統一戦線の手先と言っても過言でないほど北朝鮮に近い人物」

ブランドバッグを受け取ったとされる映像がネットに…

 2023年11月、インターネットメディア「ソウルの声」がYouTubeに「2022年9月、金建希大統領夫人が約34万円するクリスチャンディオールの高級バッグを受け取った」とされる映像を公開しました。そのバッグを渡したのが在米韓国人の牧師で、北朝鮮と韓国を行き来し統一運動を行って来た親・北朝鮮のチェ・ジェヨン牧師という人物です。金氏とは出身地が同じで、親族同士に親交があったといいます。

インターネットメディア「ソウルの声」の取材方法に問題か?

 野党「共に民主党」は「YouTubeの主張が事実なら違法」「バッグを受け取ったのか?大統領室の立場を明らかにするべきだ」と猛批判しています。このウラに居たのが、インターネットメディア「ソウルの声」のイ・ミョンス記者です。このイ記者が高級バッグを自腹で購入し、撮影用の隠しカメラ内蔵の腕時計を用意しチェ牧師に依頼していたということです。

龍谷大学 李相哲教授

Q.大統領夫人が、親・北朝鮮の牧師と会うというのは大丈夫なのですか?

(龍谷大学 李相哲教授)

「そこが問題なんです。そもそも2022年の9月に撮影したものを今頃放映したのも政治工作の匂いがします。バッグを買ったのも本当に記者なのか?あるいは『共に民主党』なのか?もっと言えば公営放送MBCの記者も関わっています。その記者は映像が放映された日にMBCを辞めています。辞めても誰かが身分を保障してくれるというウラがあるとしか思えません」

尹大統領 韓国・KBSで疑惑に初言及

 今年4月に総選挙が行われる韓国ですが、2月7日、韓国・KBS が尹大統領との特別対談を放送しました。そこでこの“ブランドバッグ疑惑”について 聞かれた大統領は、「はっきり断れなかったことはやや問題といえば問題だ。少し残念だったと思う」と答えています。ただ取材方法について「隠しカメラまで持って来て、また選挙を前に1年も前のことを騒ぎ立てること自体が“政治工作”と考えるべきだ」と主張しました。また、「この問題で夫婦ゲンカはしたか?」の質問に大統領は「全くしなかった」と答えています。野党は「最後まで大統領の謝罪はなかった」と一斉に批判しました。

Q.韓国は選挙前だと“何でもあり”なんでしょうか?

(李教授)

「いま、尹大統領を攻撃しようにも材料が乏しいので、“美しすぎる夫人”にターゲットを絞って、庶民が怒るようなネタを作り出したと思います」

Q.このバッグは今どこにあるのですか?

(李教授)

「大統領府の保管室にあります。大統領夫妻はいろんなプレゼントをもらうのですが、それらはいったん保管室に置いて、辞めるときに記録室に保存したり売ってチャリティーにあてたりします。自分のものにすることはできません」

Q.韓国では大統領夫人に簡単に会えるんですか?

(李教授)

「当時は、まだ大統領府の官邸ができていなくて、マンションから通勤していた時期です。夫人はマンションの下にオフィスがあって、SPも付いていてチェックをしていたんですが、腕時計にカメラを隠していたとは思わなかったというのが一つ。そして、尹大統領が大統領夫人を管理する第二附属室を予算削減で廃止したということも関係しています」

大統領夫人の疑惑が外交に影響?尹大統領は疑惑の捜査に“拒否権”を行使…総選挙前に揺れる韓国

金建希氏の疑惑は外交にも影響?

 尹大統領は2月18日から1週間の日程でドイツとデンマークを訪問する方向で調整していましたが、出発4日前に急きょ延期を発表しました。与党関係者は「国内の懸案事項に集中する必要性があった」と話していますが、野党からは「もし金建希夫人を守るため歴訪を取消したなら、『外交より妻のメンツが大事なのか』という国民の厳しい視線を避けられない」と批判をしています。

Q.実際に妻のメンツのために取り消したのですか?

(李教授)

「夫人の件も少し関係していると思います。歴訪先もファーストレディが来ることを前提に準備しています。そんな中で疑惑のある夫人を何もなかったよう連れ出すのも問題がありそうだというのと、国内政治を優先したということです」

韓国国会 疑惑捜査の特別検察官を任命する法案を可決

 金建希氏が大統領夫人になる前から問題になっていたのですが、2023年12月、韓国国会は金氏の『輸入車ディーラーの株価操作事件に関与した疑惑』について特別検察官を任命する法案を可決しました。

Q. 「輸入車ディーラーの株価操作事件」に対してだけ、特別検察官を任命するのですか?

(李教授)

「法律には、『輸入車ディーラーの株価操作事件をターゲットにする』と書いてありますが、特別検察官が関連あると判断した他の事件も含まれるので、間違いなく『高級バッグ事件』も調べようという意向も隠れていると思われます」

尹大統領 “拒否権”を行使

 尹大統領は1月、法案に対する“拒否権”を行使し、国会で再議決を要求しました。大統領室長は、“拒否権”行使の理由を「文政権で2年間捜査して起訴どころか召喚もできなかった事件」だからだと説明しています。法案を再び可決させるには、在籍議員の過半数の出席と、出席議員の3分の2以上の賛成が必要です。韓国国会はねじれているとはいえ与党の議席数は3分の1以上あるので可決される可能性は低いということです。李教授によると「尹大統領はこれまで金建希氏の言動で苦労してきた。今後、表舞台で目立った活動をさせるのは慎重になるのでは」ということです。

Q.この問題は、尹大統領にとっては「なんで今更」という話なんでしょうか?

(李教授)

「10年前も2年間徹底的に調査して何も出てこなかったんです。その後、尹大統領が検察総長時代に“タマネギ男”と言われた曺国元法相を捜査し始めたら、文政権が夫人の件を持ち出して2年間捜査して容疑無しという結論が出たのに、文政権の検察が事件終了のサインをしなかったんです。そして、そのまま残っていたのをまた持ち出したということです」

(「情報ライブミヤネ屋」2024年2月21日放送)