ヤマザキ、袋を開けてパン詰め替え
Amazon山崎製パンといえば、年間売上高が1兆円を超える製パン業界最大手だ。
「ダブルソフト」「薄皮シリーズ」「ランチパック」「ナイススティック」「ホワイトデニッシュショコラ」「ミニスナックゴールド」など長寿シリーズを多数抱え、毎年春に展開されるキャンペーン「春のパンまつり」も有名で、多くの一般消費者にとって親しみが深い企業の一社。
ところが、9日発売の「週刊新潮」(新潮社)は、同社の工場で信じられない不正が報じられた。
「同社の工場では包装済みの袋を開けてパンを取り出し、翌日納品分の袋に入れ直すという消費期限の偽装が常態化している」
というものである。
4月18日発売の「週刊新潮」によれば、
・一部店舗に対し本来の納品数・代金分の個数より少ない数量を納品する「中抜き」
・ノルマ達成のために店舗から注文を受けていない商品を無断で納品するという行為
・商品で問題が発覚すると、その商品を回収するために社員が納品された店舗を回って一般客を装って購入する
などが行われているという。
また、かつては工場勤務者の月の残業時間が120時間におよび、これに加えてタイムカードを切った上でのサービス残業も強いられていたという元従業員の証言も掲載されている。
業界関係者は言う。
「中抜きや無断納品、問題商品の買い占めなどは営業現場の話なので、個別の部署や個人がノルマ達成や問題が本社にバレることを防ぐために独断でやっていたということは考えられる」
「一方、袋を詰め替えるという手口での消費期限偽装は、中小規模のメーカーならいざ知らず、最大手である山崎製パンがそんなことをやっているとは、にわかには信じがたいレベルの行為」
「正社員である現場責任者が指示しない限り、こうした行為は行われないし、日常的に繰り返されていたとすれば工場内で広く認識され、工場長も把握していただろう。食品衛生法違反の恐れがあり、当局による営業停止処分の対象にもなり得る話なので、会社としてしっかりとした調査と公表をすべきではないか」
「一連の不正を見る限り、現場がノルマ未達や問題の発覚によって本社から怒られることを過度に恐れていることが根本原因であるように感じる」
「総じて食品メーカーというのは社風が真面目だが、それが裏目に出てしまっているのかもしれない」
2月には千葉工場で女性アルバイト従業員がベルトコンベヤーに胸部を挟まれ死亡するという事故も起きている山崎製パン。
山崎製パンの不正行為が「新潮」報道によってたて続けに明らかになってになっているが、食品メーカー関係者は、
「“製造ラインを絶対に止められない”“ロスを発生させてはいけない”という強いプレッシャーが、山崎製パンにおけるさまざまな不正や事故の背景にはある」
と語っている。
以上、Business Journalからお届けしました。
編集者:いまトピ編集部