マックが「トマトを使わない」のは、なぜか?
「マクドナルドは、なぜ頑なにバーガーの中にトマトを入れないのか」
そんな疑問が一部で話題となっている。
競合するモスバーガーやバーガーキングは主力メニューに生のトマトを使用しているが、マクドナルドがそのような姿勢を貫いているのには何か理由があるのか。
マクドナルドがあえてトマトを使用しない理由について、飲食プロデューサーで南インド料理専門店「エリックサウス」総料理長の稲田俊輔氏はいう。
「「トマトはとても身近で老若男女問わず好まれやすい野菜ですが、価格としては決して安いものではありません。また時期によって価格が大きく変動するだけでなく、品質もブレやすいという厄介さがあります。サラダの彩りとして入るくらいならまだしも、主力の料理に使うには味の面でも原価の面でも、それなりのリスクがあります」
「ハンバーガーの場合、輪切りの形で使うので、どうしても歩留まりが悪くなりますし、ヘタ近くと真ん中ではやはり品質にバラつきが生じます。なので飲食店、特に多店舗展開するチェーン店では、トマトは扱いづらい食材ということになります」
その条件自体はハンバーガーチェーン各社同じだが…。
稲田は続ける。
「モスバーガーの旗艦商品である『モスバーガー』はそのトマトこそがアイデンティティでもあり、どれだけ経営リソースを割かれたとしても、それを出し続ける使命があります。バーガーキングもやはり、フレッシュな野菜がたっぷりと使われた『ワッパー』からトマトを抜くわけにはいきません」
「マクドナルドのハンバーガーのアイデンティティは、牛肉100%の『肉肉しい』パティそのものにあります。ですので、トマトのような扱いづらい食材をあえて無理して使う必要性は、他社に比べて薄いといえます。原価及び品質がブレないことを優先するほうが正しい経営判断といえるでしょう」
別の飲食チェーン関係者はいう。
「マクドナルドがトマトを使わない理由を一言でいえば『デメリットが多すぎる』という点に尽きるだろう。割高なうえにカットすると汁が出るので扱いが難しく、1個のトマトのうちで輪切りにして使える部分は限られており、廃棄ロスも増える。つまりトマトを使うと価格アップにつながるため、リーズナブルな価格をウリとするマクドナルドとしてはトマトは使用しないという判断をしているのだろう」
「今のマックのメイン客層がバーガーにトマトを入れることを求めているとは考えにくく、逆に価格据え置きで『てりやきマックバーガー』や『ビッグマック』『チーズバーガー』など定番メニューにトマトを入れたとしても、お客から拒否反応が出るのは必至だろう」
各社トマトを使う、使わないにはそれぞれの理由があったのだ。
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編集者:いまトピ編集部