ディズニーシー、行っても「アトラクションやパレード」をまったく体験できない恐れ

かつては現地に行って5500円の「1デーパスポート」を買い、並びさえすればアトラクションを利用することができた東京ディズニーリゾート(ディズニーR)。
今月6日に東京ディズニーシーの新エリア「ファンタジースプリングス」がオープンし、チケットシステムの複雑化で下調べを入念に行っておかないと希望のアトラクションやパレードをまったく体験できない恐れがあることや、高額化した料金が改めてクローズアップされている。
東京ディズニーシー8番目のテーマポートとしてオープンしたファンタジースプリングス(FS)。
同エリアには通常のパークチケットだけでは入場できない。
入場・アトラクション利用のためのチケットに複数のタイプがある中、無料で入手できるのが「スタンバイパス」。
入園後に東京ディズニーリゾート・アプリから利用したい施設・時間帯を選択し、パスを取得。選択した時間に列に並ぶという流れ。同時に複数のアトラクションのスタンバイパスを取得することはできない。公式サイト上には「スタンバイパスは施設等の入場を保証するものではありません」と記載されている。
有料の「ディズニー・プレミアアクセス(DPA)」は、入園後にアプリ上で使用する施設と時間を選択するという流れは同じだが、短い待ち時間で希望する施設を利用することが可能。
スタンバイパスとDPAともに数に限りがあるため、FSに入ってアトラクションを利用できる確率を高めるためには、日によってはディズニーシーの開園前から並ぶ必要がある。
当面は土日などに小さな子どもがいる家族連れがFS内のアトラクションを利用するにはハードルが高い状況が続きそうだ。
以前と比べると、明らかにチケットシステムが複雑化し、かつ高額化している。
久しく足を運んでいない人は要注意だ。
「以前と比べると、現在はアプリが複雑化しすぎており、加えて客の出費が高額化しているという印象があります」
そう語るのは、テーマパーク経営に詳しい明治大学経営学部兼任講師の中島恵氏。
「丸1日いて園内の飲食施設を使用しないというのは難しいので、確実にいくつかのアトラクションを体験しようと思えば、一人当たり2万円以上の出費は覚悟しなければなりません」
このような変化の背景には運営元のオリエンタルランドの戦略転換があるという。
「以前から激しい混雑と行列の待ち時間の長さが問題視されており、その解消が課題となっていたところでコロナ禍による売上減に襲われ、オリエンタルランドはリストラを余儀なくされました。2011年の東日本大震災の際には一定期間の休業も経験している同社としては、客数に頼ることなく、混雑と行列を回避するためにできるだけ客数を抑えつつ客単価を上げることで利益を伸ばすという戦略に転換しました」
「スマホが普及したことで、来場者がスマホのアプリ上でチケットを購入したりアトラクションの予約をできるようなったことも同社にとっては追い風となりました。『プライオリティパス』は発行数に限りがあり、人気のアトラクションはすぐになくなってしまうので、客に『また来て、今度は確実にあのアトラクションに乗れるよう有料のDPAを買おう』と思わせるリピーター獲得戦略になっている面もあるかもしれません」
実際にオリエンタルランドは、過去最高益を叩き出しているのが現状。
「いくら複雑化している、高額化しているといっても、多くの客が来ているわけなので、現在の方向性が変わることは当面ないでしょう」
以上、Business Journalからお届けしました。
編集者:いまトピ編集部