猫はなぜ伸びるのか
猫の両脇を抱えて抱き上げると、びろーんと体が伸びますよね。
なぜ猫は長く伸びるのでしょうか。
今回は、ヤマザキ動物看護大学の今村伸一郎教授にその疑問に答えていただきました!
『猫は獲物を捕まえて生きる動物で、それにふさわしい柔軟な体をしています。
狩りでは、できるだけ獲物のそばまで近付いて、ダッシュをかけて捕食できるような体全体の柔軟性が必要です。
例えば、背骨は椎骨(ついこつ)という骨がつながってできています。椎骨と椎骨の間はせいぜい1~2mmほどですが、断面積が小さいのが特徴です。
断面積が小さいと、椎骨を大きく動かせるという仕組みになっています。
また、椎骨の間にある椎間板や椎骨の間をつなぐ靭帯も非常に柔軟な組織でできており、背骨全体を柔らかく、大きく動かすことができ、かつ引っ張ると伸ばすことも可能。
胸椎から腰椎にかけて椎骨の数は20本ありますが、椎骨の間を倍くらい広げると単純計算で約4~5cmも伸びます。
背骨だけではなく、猫の場合はほかの骨の関節の可動性、柔軟性も高いので、両脇を持って抱え上げると、前脚と後ろ脚も垂直方向に真っ直ぐに伸ばすことができます。
前脚、後ろ脚、背骨も伸ばせる柔軟な体の構造をしているので、両脇を抱えて抱き上げると、非常に伸びたように見えるわけです。』
伸びる骨…驚くべき体の柔軟性ですよね。
では、猫の体は柔軟なのでしょうか。
『猫のような肉食動物は、瞬発力を発揮して獲物に追いつくよう速く走らないといけません。
前述の背骨や関節の柔軟さは、バネのように体を曲げて力をため、脚を前に進めるための推進力を作り出します。
体が柔軟に曲がるので、走行中に後ろ脚を前脚の前に出し、クロスするような動きができます。これにより速く走ることができるです。』
背骨が柔軟に稼働することで速く走れるなら、馬なども同じかと聞いたところ、「まったく違います」とのこと!
『草食動物の馬や牛は、背骨はがっちりと固定されているようなもので、猫のような柔軟性はありません。
彼らの背骨がなぜ固く動かないのかというと、猫のような動きをするとお腹を圧迫してしまうからです。
草を食べているので、お腹にタンクを持っているようなものです。
タンクを抱えるために背骨を固定しているので、猫のように体を折り曲げバネのようにして推進力に使うことができないのです。
その代わり、草食動物は足の指の数を減らすことにより早く走る術を獲得しています。』
『猫は柔軟なので体のひねりが自在です。『へそ天』で抱っこして胸の高さぐらいから落としても、必ず体をひねり、足を下にして着地します。これが犬なら背中から落ちるでしょう。
木に登れるのも猫の大きな特徴。これも樹上に潜んで獲物を待ったり、取った獲物をほかの捕食動物に奪われないよう樹上に置いたりするのに役立っています。
あまり木登りが得意ではないチーターも、ハイエナなどに獲物を横取りされそうな時、樹上に置いて防ぐことがあります。
猫は生きるために必要な能力を発揮できる体をしています。
生きるために必要だからこそ、体が柔軟にできているのです。』
生きるために伸びる事が必要だったんですね!
先生の回答には驚きの連続でした。
詳細は、grape [グレイプ]をご覧ください。
編集者:いまトピ編集部