2024/7/1 18:21

ウーバー、失敗の原因

外国人

「Uber(ウーバー)」は、全世界でひと月当たりの乗車回数が約1億回にも上るとされるライドシェアアプリだ。

しかし日本では、サービスを開始してから10年以上たった現在はタクシー配車アプリとなり、普及したとはいいがたい状況が続く。

これまでたびたび国の当局から反発を招くなど混乱を起こしてきたこともあり、「ウーバーが失敗したのは、日本では企業は法律を犯してはいけないということを経営者が知らなかったことが原因ではないか」という指摘が一部で注目されている。

いまや社会インフラとなった感すらあるフードデリバリーアプリ「Uber Eats(ウーバーイーツ)」だが、米ウーバー・テクノロジーズが日本で当初、手掛けていたのはライドシェアサービスだ。

2012年に日本に進出し、14年に東京都内でハイヤー・タクシーの配車サービスを開始したが普及は進まず。

当時は基本的に日本では法律上、ライドシェアは認められておらず(現在は国土交通省が認める「相乗りサービス」、カープール型などは適法)、ウーバーはライドシェアの提供を断念。

ウーバーは当初、日本でのサービス提供開始にあたり、当局との事前交渉や法律遵守を軽視していた様子がうかがえる。

米国のビジネスの世界においては、とりあえずサービスを開始してみて法的な問題などが露見すれば都度対応すればいいという考えが許容されている、という解説が聞かれることもある。

経済評論家で百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏はいう。

「ネット上でウーバーの日本での失敗についてTim Romero氏が書いた記事が、英語圏でバズっているようです。欧米企業のCEOは法律を破った際の罰金が安ければ、法律を破ってもいいと考えるのですが、日本では法律を破ってはいけない。そのことをウーバーが知らなかったという点が、欧米人を驚かせたようです」

しかし、「これは少し説明が必要です」と鈴木氏。

「ライドシェアは、スマホ上で簡単に相乗りする相手を見つけるアプリとしてサービスが開始されました。これが相乗りなのか白タクなのか、グレーなところなのですが、アメリカでは『グレーならまずやってみて、裁判を受けてたって、それで白黒をつければいい』と起業家は考えるのです」

では、ウーバーのタクシー配車サービスが日本で苦戦しているのはなぜなのか。

「日本では日本社会の慣習を検討したうえで社会実験からサービスを始めました。福岡で無料のライドシェア実験を始めたのですが、結果としては当局による強い指導から実験を中止せざるを得ない状況に追い込まれます。ここは実に日本的だと思うのですが、法律上はウーバーのやろうとしたことは合法だったのです。法律ではお金をとる白タクは禁止しているのですが、お金をとらない無料のライドシェアは禁じていません。」

「ウーバーは日本の『行政指導』を知りませんでした。『いずれお前たちは有料でライドシェアを始める前提で、無料で実験をしているのだろう。そんなのはダメだ』と役所から言われたのです。当局ににらまれたまま実験を強行すると日本での免許が下りなくなることを知らなかったのです。ウーバーが方針転換をしたことで、日本ではウーバーイーツを大々的に展開して成功しています。もし実験を中止せずに強行していたら、ウーバーイーツの自転車も徹底的に道路交通法違反で取り締まりを受けてサービスを中止させられていたでしょう」

幸か不幸か、ライドシェアでの失敗が現在のウーバーイーツの成功を導いたとも言えそうだ。

以上、Business Journalからお届けしました。

ウーバー、ライドシェア失敗原因は「日本では法律は守るべき」を知らなかった? | ビジネスジャーナルウーバー、ライドシェア失敗原因は「日本では法律は守るべき」を知らなかった? | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部