いきなり!ステーキ「奇跡のV字復活」まさかのアレが要因だった・・・
Amazon一時は積極的な大量出店でブームを巻き起こしたステーキチェーン「いきなり!ステーキ」。その後、業績が悪化して大量閉鎖に追い込まれ、近年は運営会社ペッパーフードサービスは最終赤字が定着していたが、今年度は営業利益の黒字転換を見込み、再び出店増加を計画するなど“奇跡のV字回復”を遂げつつある。
再起は不可能という見方も強かったが、なぜ業績が改善して再建を果たそうとしているのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
自身でも飲食店経営を手掛ける飲食プロデューサーで東京未来倶楽部(株)代表の江間正和氏はいう。
「業績回復の要因として、ボトムアップ型経営に変更したことが大きいと思います。私もコンサル業において『現場の従業員がもっとも状況を把握している』と考えており、現場とのミーティングを重視しています。彼らは日頃から店舗にいるわけですから、不満や自店のいいところ、悪いところに気づきながら仕事をしています。この情報を吸い上げて活かしていくことで、店舗の業績は改善します。
「いきなり!ステーキ」はファミリー客を重視した店舗への転換を進めているが、競合も多いなか、生き残って成長していくことは可能なのか。
「これについてもお客さんの声に耳を傾けていくことで可能だと思います。ステーキを食べたいというニーズ、ステーキを食事として選ぶ層は一定数います。このパイの奪い合いとなりますから、お客さんの選択肢に残り、選ばれる理由が必要です。
ファミリー層は子どもに選択権があることが多く、『今日はどこに行きたい?』と親が聞いて子どもが出す案が優先されます。もし、ファミリー層を狙うとしたら、子供の心を掴む『遊び心』やサービスが重要になることでしょう。逆に都心部でサラリーマンや一人暮らしの人をターゲットにするのなら、ボリュームや価格などの『お得感』が近隣他店よりも勝っていることが重要になります。
昨今お客さんは安ければいいという人ばかりではありません。味やボリューム、サイドメニュー、サービス、居心地など、いろいろなものが複雑に影響して、最終的にはお客さんの感情で『あっちのお店よりはここだな』と思ってもらえれば成功です。これらはお客さんの声、ニーズに表れてきますので、やはり現場からの情報吸い上げとその活用がカギとなることでしょう」(江間氏)
では、今後について懸念などはないのか。
「現場の声のなかには雑音が混ざることもあります。『お客さんの声』というのは、従業員個人の感覚であって、正しくない場合もあります。それに惑わされてしまうと迷走につながります。ただし、複数の従業員から同じような話を聞くようになってくると、本部としては見過ごすわけにはいきません。これらの情報の取捨選択が必要になります。
いったんは業績が回復しても、それがずっと続くとは限りませんし、続かないほうが多いものです。絶えずアンテナを張り、お客さんを飽きさせないということも必要です。新しいライバルも出現することでしょう。今の時代のお客さんは好奇心旺盛なので、料理に飽きてしまうこともあります。これらには兆候が表れますから、うまくいっていることは継続しながら、絶えずアンテナを張って前進していく姿勢が必要だと思います」(江間氏)
以上、ビジネスジャーナルから紹介しました。
編集者:いまトピ編集部