ユニクロ店長「年収500万円」多い?少ない?
Amazonかつて入社後3年以内の離職率が50%以上であり、休職者の42%がうつ病などの精神疾患を罹患しているなどと報じられ、国会でも労働環境が問題視されたユニクロ運営会社のファーストリテイリング。
新卒で同社に入社した社員の大半が就く店長の平均年収が500万円ほどだという点が一部で話題を呼んでいる。その労働内容・条件などと勘案すると「年収500万円」は妥当といえるのか。また、業務内容や労働環境はどのようなものなのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
「ユニクロの店長は大きく『店長』『スター店長』『スーパースター店長』にランクが分かれており、賞与を加えた年収としては『店長』が大半の20代は500万円ほどで、『スーパースター店長』になると1000万円を超えてくる。イメージとしては『スーパースター店長』は本部の部長クラスで、役員手前という感じだろう。給与水準が低い小売業界で20代前半の店長で年収500万円というのは、かなり恵まれているといっていい」(小売チェーン関係者)
アパレルチェーンの店長とは、具体的にどのような仕事内容なのか。また、どのような点が大変なのか。アパレル業界でトレンドリサーチやコンサル事業などを手がけるココベイ社長の磯部孝氏はいう。
「店舗売上の管理に加え、売れる商品の見極めと発注、売り場レイアウトの決定、アルバイト店員の採用を含めた店舗内の人事、カスタマーサービス、本部とのやりとりや本部で行われる会議への出席、テナント店舗であればディベロッパーとのやりとりなど、その業務内容は非常に多岐にわたります。ユニクロの場合、大きめの店舗では店長1人に対して社員が2~3人、準社員が3~4人、アルバイトが50人くらいというのが一般的な人員構成となっているようです。アルバイトも大きく『パートナー』『アドバンスパートナー』『シニアパートナー』に分かれており、さらに7つのグレードに分けられ時給も違ってきますが、その人事管理も任されることになります。シフト作成やVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)の担当者、時間帯ごとの売り場責任者なども置かれてはいますが、最終的な責任者は店長になります。
そしてもっとも重要な業務が売上管理です。各店舗ごとに前年実績などに基づき一日当たりの売上目標が設定されており、決められた人件費のなかで店員を割り振りして回していかなければなりません。ユニクロはこの数値管理が厳しいことで有名で、朝会や終礼などを通じて日々の売上目標額が末端のアルバイト定員にまで周知されているようです」
ユニクロほどの規模のチェーンになれば、店舗業務はある程度マニュアル化されており、属人的な要素は少ないのではないか。
その仕事内容や労力などを勘案すると、ユニクロ店長の年収500万円という給与水準は、妥当と考えられるのか。どう評価すべきか。
「同業の『しまむら』、ニトリ、無印良品の良品計画などと比較すると、突出して低いわけでも高いわけでもない水準です。ただ、これらのチェーンは大手でかつ業績が好調ですが、小売業界には規模が小さく業績も苦しい企業が多く、平均賃金は低めといわれているので、業界全体からみるとユニクロの店長の給与は恵まれているほうだとはいえるのではないでしょうか」(磯部氏)
では、ユニクロ店舗の従業員の働き方は以前と比べて大きく改善されているのか。
「詳しくは分かりませんが、店舗によるトレーニング格差が大きいという話や、都市部なのか地方なのかでも事情が違ってくるという話は聞きます。あえて改善すべき点を挙げるとすれば、店員の教育・トレーニングについて店舗の現場任せになっている面が強いのではないか、という印象を受けます。店舗やトレーナーによって店員のスキルに差が生じてしまう可能性もありますし、店舗にとっては軽くはない負担がかかります。ユニクロほどの規模のチェーンであれば、トレーニングセンターのような拠点を設けて、そこである程度の教育をしてから各店舗に派遣するという形態を取るといった取り組みを行うことで、店舗の負荷低減につながるかもしれません」(磯部氏)
以上、ビジネスジャーナルから紹介しました。
編集者:いまトピ編集部