カインズ従業員「商品をぶん投げて陳列」人手不足→甘やかし進行
ホームセンター「カインズ」の従業員が商品をぶん投げて陳列する様子を収めた動画がSNS上で拡散されている。カインズは10月4日付「J-CASTニュース」記事の取材に対し事実を認めているが、ある外食チェーン関係者は「人手不足の深刻化による従業員の採用基準の緩和と“甘やかし”で、従業員の問題行為が増えている」と嘆く。
そうしたアルバイト従業員の問題行為について、最近は質の変化がみられると外食チェーン関係者は指摘する。
「今の10~20代はSNS利用のリスクに敏感なため、よほどリテラシーが低い人でない限り、自らの問題行為をSNS上に投稿するということはしないようになっています。その一方、かつてバイトテロとされる行為をする人はそれが悪い行為だということを認識してやっていたと思われますが、最近は悪い行為だという認識がないままにやってしまっている従業員が増えていると感じます。たとえば、明らかなミスをしても悪いという認識がなく、それゆえに謝罪の言葉を口にしなかったり、食べ物に触れる容器や調理器具が床に落ちて、洗浄せずにそのまま使ったり、レジの操作でわからくなり、お客さんに何も言わずにその場から離れて他の店員を呼びに行ったり、レジでお客さんを目の前にして無表情で『あっ!』『どうしますか?』と言ったり、これまでもそうした問題のある従業員というのは一定数いるものでしたが、明らかに増えています。
今回のカインズの動画も、映っている2人の従業員は楽しそうに笑っており、商品を放り投げるという行為が悪いという認識すらなく、単に楽しかったから投稿したのではないでしょうか」
別の外食チェーン関係者はいう。
「明らかにお客に聞こえるほどの大声でおしゃべりをするアルバイト従業員が増えました。お客さんからちょっとしたクレームを受けても、何を言われているのかよくわからないという表情を浮かべて『申し訳ございません』の一言が言えなかったり、一回クレームを言われただけで辞めてしまう人も増えています。以前であれば一部の問題が目立つ従業員に注意すれば済んでいましたが、今がみんながみんなそういう感じなので、どうすべきか解が見つかりません。特に今は人手不足でバイトやパートを確保するのが大変なので、厳しく言って辞められると困りますし、パワハラだと騒がれると面倒なことになるので“甘やかし気味”になってしまいます。また、以前では面接の段階で落としていたレベルの人でも採用せざるを得なくなっており、そうした採用基準の緩和も接客サービスの質の低下に拍車をかけている面もあるでしょう。カスハラという言葉が浸透したことで、従業員側の意識も『クレームを言う客のほうが悪い』というふうに変わってきている点も影響していると感じます」
採用基準の緩和による問題は、介護の現場でも起きているという。
「介護業界の人手不足は本当に深刻で、一般企業の間で初任給の引き上げ競争やホワイト企業化のPR合戦が進行していることも影響して、介護の専門学校や大学の専門学科を卒業しても一般企業に就職する人が増えています。年間の採用人数としては日本人よりも外国人技能実習生のほうが多いという施設は、もはや当たり前になっています。介護施設の場合、法律で『職員が何人いなければならない』という人員基準が定められており、運営継続のためには絶対に人数を確保しなければならず、また介護報酬が決まっているので、ものすごく高い給与を設定することもできないため、採用環境は一般企業よりシビアです。なので、これまでだと不採用としていたレベルの人まで雇わざるを得ず、勤務態度に問題があっても厳しく注意することもできず、そういう職員がいることで職場全体の人間関係や空気が悪化してしまうということも起きています。さすがに介護施設で職員が問題行為をスマホで撮影してSNSにアップするという話はあまり聞きませんが、実態は以前より確実に悪化しています」
以上、ビジネスジャーナルから紹介しました。
編集者:いまトピ編集部