業務スーパー、食品に「カビ混入」1年で自主回収22件の危うさ
格安の価格で美味しい“神お菓子”だと人気だった業務スーパーの「ココナッツブラウニー」。一部商品にカビの発生が確認されたとして先月27日、自主回収が発表されたが、先月12日には「イタリアンビスケット(ヘーゼルナッツ&ココア)」の一部商品において金属異物の混入が認められ自主回収をすると発表されたばかりだった。口の中を負傷した人も発生していた。業務スーパーの食品では昨年1年間だけで計29件の自主回収が発生しており、食品の安全管理に問題があるとの指摘もなされている。
今回自主回収が発表されたのは、1箱(5個入)で213円(税込)の「ココナッツブラウニー」で、賞味期限が2024年12月19日、25年3月5日のもの。すでに全国の店舗に7万3111箱が出荷されており、店舗から消費者への販売数量は不明。運営元の神戸物産は購入者に対し、店舗での回収、もしくは同社お客様相談室への送付を呼びかけている(返品した人には商品代金相当分のQUOカードを送付)。食品のカビにまつわる事故としては今年、小林製薬の紅麹原料を含むサプリメントで、青カビがつくる有毒物質「プベルル酸」が原因で健康被害が生じていたことが判明。摂取後に腎臓の病気を発症する人や死亡者がいたと発表されている。業務スーパーの「ココナッツブラウニー」を食べた人の間で健康被害が出ているという情報は現時点ではない。
また、昨年の1年間では計29件の自主回収が発生している。そのため、今回の発表を受けてSNS上では以下のような声が相次いでいる。
<業スーの商品ってよくリコールしてるイメージ>
<さすがにこうも続くと業スの商品ヤバいのかなって思っちゃう>
<安かろう悪かろう>
<定期的にやらかす業スー>
<業務スーパーってこういうニュース多い>
<有り得ないものが有り得ない値段で売られている>
<近所にあってたまーに行くけど有名商品のパッケージ丸パクリ商品とか、中国産野菜の大パックとか、ちょっと日本の常識から外れてる>
業務スーパーは「食の製販一体体制」を掲げ、自社で企画・製造するオリジナル商品を拡充させている。原材料の生産・加工・販売を自社で行い、国内に25拠点の食品加工工場を構え、国内自社アイテム数は約370に上る(23年11月現在)。加えて、世界に350を超える協力工場を持ち、「世界の本物を直輸入」をコンセプトに掲げており、海外直輸入アイテム数は1680に上る。輸入商社や問屋を介さずに工場から直接買い付けることでコストダウンを実現している。
今年8月時点の店舗数は1074に上るが、小売チェーン関係者はいう。
「業務スーパーは毎月、新規店舗を複数出店するなど積極的な拡大を続ける一方、食品の品質問題による自主回収の頻度が減っておらず、毎回短いリリースで商品を会社に送付してくださいと呼び掛けるのみ。安全管理の見直し・強化に力を入れて取り組んでいる姿勢が見えず、このままだと将来、小林製薬のような大きな社会的問題を起こしかねないという懸念を感じます。全国に1000店以上を展開する大手チェーンにしては自主回収の頻度が多すぎるし、その姿勢にも疑問を感じます」
別の小売チェーン関係者はいう。
「海外の工場から直接買い付けているとのことだが、協力工場といっても自社運営ではなく、定期的な監査などは行っているかもしれないが、製造・衛生の管理基準・マニュアルは各工場の運営会社のものとなり、業務スーパーが細かいところまで管理しているわけではない。加えて海外の工場となれば、国によって法令や当局による取り締まりの厳しさには差があるし、工場によっては衛生・安全管理が杜撰なところもあるかもしれない。地理的に日本から離れていれば、自ずと監視の目も行き届きにくくなる。
輸入商社が介在することで、商社でも仕入先の選別や品質チェック・管理が行われるが、商社が介さないことで、これらについて全責任を業務スーパーが負うことになる。コストダウンの面ではメリットが生じる一方、業務スーパーがそのあたりをどこまで徹底しているのかが気になる」(24年9月14日付当サイト記事より)
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編集者:いまトピ編集部