マンガアプリ「作品を永久的に独占利用」漫画家が修正求めると「連載中止」→弁護士「全く理解できない」
コミックスマートが運営するマンガ配信サービス「GANMA!(ガンマ)」。
アプリのダウンロード数は累計1800万を超え、ブームになる前のオリジナル新作マンガを意欲的に掲載している点が特徴。
連載中のオリジナルマンガは第1話から最新話まで全話無料で読むことができる。
漫画家・宇津江広祐氏は、GANMA!での新連載の開始が決まり数話分を書き溜めていた。
その宇津江氏が今月7日、X上で
「GANMA!さんのアプリで、10月か11月中には新連載の開始が決まっていたのですが、連載が取り消しになりそうです」
とポストし注目を集めている。
「契約書を送ってもらい確認したとき、契約書の内容が漫画家から様々な権利を奪う内容に思え、全体的に違和感がありました」
「契約を終了したとしても、なぜか会社側に作品の独占的な利用を永久的に継続されることになっている」
「弁護士に送ってもらった内容を編集者にそのまま伝え、修正をお願いすることに」
「一度も契約書の修正について協議もすることもなく急に『いただいた契約書の修正にはお答えできない結論になりました。』『本作品の取引を中止したい』と連載ごと中止させられると連絡が来ました」
宇津江氏は連載決定を受けてこの半年間、原稿3話分の計135ページに加え、4話以降のネームなども制作していたといい、GANMA!側からは3話分の原稿料は支払うと伝えられたものの、
「半年以上も貯金を切り崩して連載用に作業をし続けていたので、さすがに生活的にも心理的にも厳しい……」
と吐露している。
GANMA!側が締結しようとしていた契約書の内容について、山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士は
「『契約を終了したとしても、会社側に作品の独占的な利用を永久的に継続されることになっている』部分ですが、主語述語があいまいなのでやや回答しにくいところですが」
と前置きした上でこう語る。
「『会社は、契約終了後も作品の著作物の複製、販売等ができる』という意味であれば、契約によって著作物の利用が可能となるわけですから、契約終了後も利用できる、というのは全く理解できません」
「契約の内容が『著作権を譲渡する』とされているのであれば、考えられなくもないですが、契約を終了するということは、売買のように単発の契約ではないわけですから、譲渡を内容とするものではないでしょう」
「作家さんと出版社の力関係を背景に、あわよくば不当に著作物を搾取しようとしたと勘繰られてもしかたない内容です」
宇津江氏は
「原稿を受け取っても出版社に掲載義務はないという記述があり、これは著作権法81条からしておかしい」
とも綴っているが、大手出版社社員は
「一般的な出版契約には、このような記述はないと思われますし、私自身も見たことはありません
「『出版社に掲載義務はない』という考え自体も、出版業界のなかで広く共有されているものではありません」
と語っている。
Business JournalはGANMA!を運営するコミックスマートの公式サイト上の問い合わせフォームより、同社の見解について問い合わせ中であり、回答を入手次第、追記するとしている。
以上、その他詳細はBusiness Journalをご覧ください。
編集者:いまトピ編集部