2024/10/30 14:04
牛「1頭1000円」でも売れない
ホルスタイン種やジャージー種など乳牛を飼育し、牛乳や乳製品を生産する酪農家。
当然、乳牛として需要があるのは乳を出す雌牛のため、生まれたのが雄牛だった場合は食用として畜産農家に販売される。
ところが、農畜産業振興機構の統計によると、食肉用に肥育されている乳用種の雄牛の平均取引価格は、21年には1頭10万8163円だったが、今年9月時点ではなんと1万6885円に。
わずか3年で、なんと価値が6分の1以下に暴落しているのだ。
酪農家にとって乳用種の雄牛は、副産物的な存在ながらそれでも大きな収入源となっていた。
ただし、ここまで相場が下がってしまうと完全に赤字だ。
農業専門紙の記者は語る。
「子牛は全国各地の家畜市場でセリにかけられて取引されますが、500円や1000円といった最低価格での出品も確認されています。しかも、ここまで安くても未入札で終わることもあります」
実は、飼料代がここ数年高騰しており、1頭当たりのコストは1日500円以上。
牛舎内の室温維持や換気のために必要な電気代も値上がり。
酪農家や畜産農家の経営を圧迫する一方だという。
「このまま相場が暴落した状態が続けば、日本の酪農業、畜産業全体の崩壊につながりかねません」
あらゆる物価が上昇を続ける中、そうした流れに逆行するかのように下落する子牛相場。
スーパーでの牛肉価格は以前よりは高くなったが、まだこの程度で済んでいるのは、生産者がそのぶん犠牲を払っているからなのだ。
以上、アサ芸ビズからお届けしました。
編集者:いまトピ編集部