本を読んでみたいというヤンキーに小説を貸したら…「美しい話」
速度 (@No343D55)さんが投稿した、高校時代のエピソードが話題です。
「【思い出】高校三年の時、ヤンキーの友達がいた 美術部だった自分とは接点があまりないはずだったが、なぜか気が合った
ある日彼が本をちゃんと読んでみたいというので、ヘルマン・ヘッセの『車輪の下』を貸した ページも少ないしすぐ読み終わるかと思っていたけれど、本は数ヶ月帰ってこなかった
受験を控えていた自分は忙しく、卒業後就職予定の彼とは自然に遊ばなくなっていった 本のこともすっかり忘れていた
ある日予備校から帰る夜に、彼から久しぶりにメールが届いた
そこには一言、
「ハンス死んだんやけど」
と書いてあった
最初は何のことかわからなかったけど、少し記憶をたぐり寄せて、その言葉の意味に行き着いた
彼は車輪の下を読み終わったのだ
確かにこの小説の終わり方は当時の自分にも衝撃的だった 、物語のセオリーも寓話的な態度も会得していなかった自分たちにとっては
そしてそれよりも彼の一言の手触りはショッキングで、固かった
彼がハンスを自分と重ねたかどうかはわからない 友人としていたかもしれないし、まったくの消費者だったかもしれない
ただその時自分が感じたメールの感触は、彼が多くを語らなくても、驚き、うろたえていることがわかった
彼の人生にハンスの死が刻まれたのだ
その後、しばらくメールはこず、時間が経ち、卒業式の周辺でやっと本が帰ってきた
彼はいつもの陽気なヤンキーに戻っていた
おわり」
なるほど…
文学の力を感じさせるお話です。
興味深い呟きに、他のユーザーからは↓
●この感覚はすごくわかる。衝撃の共有に期待してしまう
●学も無ければ普通の感性を持ち合わせてるのかすら疑わしい人種が、物語の結末やキャラクターの死に慄き悲しんで影響を受けた事に、創作物の底力というか揺さぶられるようなものを感じたな
●作品を読んであれこれ考えて言う感想も良いけど、こういうふうに率直に出てくる、謂わば丸裸の感想もすごく大事にしたいな
●美しい話だ。煌びやかでも華々しくも無いけど、今までにない感情の微かな揺れ動き。文学的な静かな美と悦び
たとえ一瞬の出来事だったとしても、物語を読んで受けた衝撃はきっと彼の中に何かを残したのではないでしょうか。
BUZZmagが伝えています。
編集者:いまトピ編集部