看護師「患者は放置」「面倒だから隠蔽」氷山の一角か
病院に勤務する看護師がX(旧Twitter)上のポストが問題に。
「全介助の患者は放置してます」
「体位交換サボりすぎたら褥瘡発生させた」
「患者が痛いとか訴えても無視してる。医師に報告とか面倒だし、指示出て処理するのも面倒だし」
「インシデント書くの面倒だから、いつも隠蔽しちゃう」
1月7日付「千葉日報」記事によれば、千葉大学医学部附属病院が内部の看護師である可能性があるとして調査中であることがわかったという。
当該看護師のXアカウントはすでに削除されているが、ほかには以下のような投稿がみられた。
「患者の主治医不在なのに、後から確認するの面倒だったから、主治医に確認したフリをして、他職種に許可出してしまった」(原文ママ。明らかな誤字脱字等は修正/以下同)
「(薬を)飲ませるの面倒だからいつも飲ませたフリをしてこっそり捨ててる」
「体位交換、口腔ケア、清拭はいつもやったフリだけしてます」
「モニターずっと鳴ってたらしく、誰も気づかなくて、心停止になってた」
「この夜勤で一度もオムツ内確認せずサボってたら、シーツまで便まみれになってた」
こうした看護師の問題行為が生じる背景には、労働環境などがあるのではないか。
医師で特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長、上昌広氏は語る。
「医療職として信じられない行動である。知人の山本知佳看護師に相談したところ、『私が働いた職場では、このような怠慢や意図的な行為はなかったと思う。患者さんやご家族に寄り添うことに誇りを持って働いている人ばかりだった』と返事があった。私も同感だ」
「ただ、常識的に考えて、これは氷山の一角だろう。一件でも露顕したら、水面下で多数の問題行動が起こっていると考えたほうがいい」
「確かに看護師はストレスが多い職場だ。特に、今回問題となったインシデント報告は、その傾向が強い。前出の山本看護師は、『医師への報告がしにくい環境(威圧感がある医師の対応、看護師を馬鹿にするような態度など)や、再発防止のためのインシデント報告が犯人探しになりやすいシステムなどの問題は、程度の差こそあれ、どこの医療機関でもあると思う』という。この点で、医師をトップとしたヒエラルヒー型の医療現場は改善の余地が大きい」
ただ、このケースはそのような一般論だけでは片付かないと氏はいう。
「私が注目するのは、看護師を目指す若者の気質が変わってきたことだ。かつて、看護師の社会的地位は高くなかった。看護師を目指す若者は、高収入や社会的地位に憧れたのではなく、病人を支えたいという使命感に駆られた人が多かった」
「近年、その気質は変わってきた。看護師の社会的地位があがり、付加価値が高い専門職として資格を取る人が増えたからだ。一旦、資格をとれば高収入が保証される。今回、問題となった千葉大学医学部附属病院の場合、大卒の新卒看護師の初任給は34万8229円だ。これは千葉大学の後期研修医(3年目以降の医師)の給与(24万6100円)、三井住友銀行(25.5万円)の初任給より高い」
「首都圏の看護師不足は深刻だ。千葉県の人口10万人あたりの就業看護師数は796人だ。これは最も多い高知県(1685人)の約半分だ。高知県でも看護師は余っていないから、千葉県では看護師は就職に困ることはない。これが、看護師の中途退職が多い理由の一つだ」
「ちなみに、看護師の給与は、地域の人口当たりの看護師数と反比例する。高知大学医学部附属病院の大学卒の看護師の初任給は、29万7800円である。千葉大学より約5万円安い」
勤務は厳しく、患者の命を預かるストレスが大きい看護師職。
ただ、高度専門職として、確実な雇用と高い報酬が保証されている。
「看護師になれば、食うには困らないのだから、『軽い気持ち』で看護師を選んだ人もいるだろう。それが、今回のようなケースにつながったのではなかろうか。この問題を解決するには、看護師の職業規範について、看護師自らが議論するしかない」
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編集者:いまトピ編集部