ユニクロ運営会社、1年目で「年収730万円」
アパレルチェーン「ユニクロ」「ジーユー(GU)」を運営するファーストリテイリングは、3月以降に入社する新卒社員の初任給について、従来より3万円引き上げて33万円にすると発表。
入社1~2年目の社員の多くが就く店長の月収も2万円引き上げて41万円に、年収ベースを約730万円にする。
給与所得者の平均給与である460万円(国税庁「令和5年分 民間給与実態統計」より)を大きく上回る水準だ。
ちなみにファストリの平均年間給与は1179万円(同社の有価証券報告書より)と1000万円を超えており、同業の「しまむら」(689万円)を上回る。
平均年収300万円台ともいわれ給与水準が低いとされるアパレル業界のなかで、大手2社の社員待遇は破格といえるかもしれない。
ファストリは給与引き上げの理由について「グローバル水準での競争力と成長力を強化するため」としており、「経験や社歴に関わらず、挑戦心や新しい発想をもち、グローバル水準で働く人材を経営層や要職に積極的に抜擢し、それにふさわしい報酬で処遇するとともに、適正な評価と必要な支援を行うことで、次世代のリーダーとして成長を力強く後押しします」と説明。
元ファストリ社員はいう。
「かつてのファストリは社風というか(同社会長兼社長の)柳井(正)さんの考え方として、『目標やタスクはいかなる理由があっても必ず達成する』ということが徹底されており、社内に『長時間残業=悪』という発想が存在しなかった」
「今の同社がどうなっているのかは分からないが、その後、柳井さんも効率重視で残業を好まないという考えになり、随分と社員の働き方も変わったと聞く。柳井さん本人も率先して朝7時前出社・16時退社を行い、店舗勤務以外の社員にも推奨している。もっとも、各店舗の労働実態については店長の働き方や考え方、能力によって大きく違いがあるとも聞く」
アパレル業界でトレンドリサーチやコンサル事業などを手がけるココベイ社長の磯部孝氏はいう。
「同業の『しまむら』、ニトリ、無印良品の良品計画などと比較すると、突出して低いわけでも高いわけでもない水準です。ただ、これらのチェーンは大手でかつ業績が好調ですが、小売業界には規模が小さく業績も苦しい企業が多く、平均賃金は低めといわれているので、業界全体からみるとユニクロの店長の給与は恵まれているほうだとはいえるのではないでしょうか」
ただ、その業務は非常に多岐に渡る。
その中で最も重要な業務が売上管理だという。
「各店舗ごとに前年実績などに基づき一日当たりの売上目標が設定されており、決められた人件費のなかで店員を割り振りして回していかなければなりません。ユニクロはこの数値管理が厳しいことで有名で、朝会や終礼などを通じて日々の売上目標額が末端のアルバイト定員にまで周知されているようです」
「商品陳列や接客に関するマニュアルは用意されているものの、ストアマネジメントはマニュアル化が難しい要素が多いのが現実です。たとえばアルバイトが50人いたとして、各人のスキルには差があり、大半は学生なので学業やプライベート、就職活動などの都合でシフトに多くは入れる人もいれば、そうではない人もいる。店舗の立地や天候、客層などマニュアルには頼れない変動要因が多いため、最終的には店長の力量が問われることになります」
その給与水準には相応の理由がある、といったところだろうか。
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編集者:いまトピ編集部