PayPayアセット、終了
2024年10月11日、投資信託の運用を行っているPayPayアセットマネジメントが、2025年9月末をもって事業を終了すると発表した。
運用する投資信託は、おもにQRコード決済アプリ「PayPay」からシームレスに使えるPayPay証券で販売されており、いわゆるPayPay経済圏の中で利用者の投資資金を抱え込む役割を担っていた。
同社の事業停止については、「受託者責任」の観点から問題視する見方が出ている。
顧客の資産を預かり(受託)、長期運用によってその成長を目指す投資信託を提供する事業者が、軽々に事業終了を選んだことはその責任を全うしたとはいえない、という趣旨だ。
当事者であるPayPayアセットマネジメントに質問状を送付。
その回答の概要は以下。
・9月末まで運用を続ける。
・その先は適法に繰上償還または運用会社の変更を行う。
・NISAのつみたて投資枠に適合するものや、比較的運用資産の大きいものについては、受益者への影響を勘案しアセットマネジメントOneに運用会社を変更。
ファイナンシャル・プランナーの深野康彦氏は語る。
「インデックスファンドは激しいコスト競争が続いていますから、体力勝負に敗れて脱落する会社が出ることは想定していました」
「PayPayアセットも頑張ってコストを安くしてはいたんだけども、残念ながら若干、顧客のニーズを外していた印象があります」
加えて、忘れてはいけないのが販売会社の問題だ。
「近年ではITを筆頭に、他業界から金融業界や資産運用分野への参入が続いています」
「この流れに乗り、PayPayは成功した時の利益最大化を狙って、既存のプレイヤーと提携せず自力で立ち上げる道を選んだ。でもPayPayアセットが連携するPayPay証券には正直、売る力がなかったんです」
「これがたとえば楽天投信投資顧問であれば、楽天証券という大手ネット証券二強の一角が力を入れて売ってくれるのですから、事情がまったく違うわけです」
「結果論かもしれないけれども、商品構成にしろ販売戦略にしろ、投信業界のことをちゃんとわかっている人が舵を取っていたのかな? という疑問はあります」
インデックスファンドは指数に連動するオペレーションを行うだけなので、運用の手間がかからないといわれがちだが、そんなに甘いものではないと深野氏は強調。
もはや低コストのチキンレース、つまり我慢比べになっており、降りたい運用会社は他にもあるかもしれない、というのだ。
「結局のところ、低コストのインデックスファンドを買ってさえいれば長期の運用成績は折り紙付きと、安心していたら危ないと言いたいですね」
「今回、運用会社の規模も重要だと、1つ学ぶことができたのではないでしょうか。つまり人と同じことをやっていれば安全ではないということです」
「今回のPayPayアセットの廃業で被害を受けた人がいるかもしれませんが、そうでなくても運用を続けていけば暴落には何度も遭遇します。そのつど、何が起こっても自己責任で引き受けていかなければならないのが投資です。ちゃんと自分で勉強して、理解してからやらないとまずいことはお伝えしたいですね」
以上、質問状とその回答、ならびにその他詳細は、Business Journalをご覧ください。
編集者:いまトピ編集部