“メイドは全員65歳以上”の「冥土喫茶」、おまじないは「喪え喪えきゅん」…群馬に全国から若い客
![メイド喫茶](https://m.media-amazon.com/images/I/41QbFVJ5bcL._SL500_.jpg)
「メイドは全員65歳以上」
群馬県桐生市のNPO法人キッズバレイが運営する、メイド喫茶ならぬ「冥土喫茶しゃんぐりら」をご存じだろうか?
萌え萌えではなく、「喪え喪えきゅん」の合言葉で客をもてなす。
当初は高齢者の憩いの場づくりを目的としていたが、全国から若い客も来るという。
「冥土喫茶しゃんぐりら」は、通常のメイド喫茶のように店舗として出店しているのではなく、NPO法人の活動場所である「COCOTOMO」の一角で開催している。
開催は月1回、第1土曜日の8~12時だ。
メイド喫茶といえば若い女性が接客するが、冥土喫茶で接客するのは前述の通り全員65歳以上。
接客する側が冥土に近いという自虐的な意味もこめて命名したという。
キッズバレイの横倉佑樹氏は語る。
「営業は朝食の時間帯であり、高齢者を意識する狙いもあって、お握りを中心とした『冥土弁当』を提供しています。みそ汁や副菜が付いて600円。ドリンクバーを付けて800円です。『喪え喪えきゅん』のおまじないを唱えます」
「桐生市は市街地の過疎化が進み、高齢者が入りやすい喫茶店やファミレスが少なくなりました。現状をふまえ、高齢者が気軽に入れる場所を作りたいと思い、いろいろと案を出す中で『冥土喫茶』を思いついたのです。せっかくなので面白さも取り入れようと思いました」
冥土喫茶に来店する高齢者からは、「癒された」「コミュニケーションを取れて楽しい」などの意見があったという。
そして冥土喫茶がメディアで掲載されて以降、若い客も来るようになった。
「4時間の営業時間帯で40人ほどが来店します。近隣から徒歩で来る高齢者が多いのですが、話題になって以降、遠方から若い方も来るようになりました。北海道、大阪から来た方もいます。実際にメイド喫茶やコンカフェ(コンセプトカフェ)で働いている人が『勉強のために』来たこともあります」
50、60代の女性からメイドになりたいという問い合わせもあったが、65歳以上という制限を崩さず、断っているという。
来店する側だけでなく、働く側の居場所づくりという狙いもあるためだ。
「加齢を前向きに受け入れ、楽しむ『ポジティブエイジング』という概念があります。冥土喫茶はポジティブエイジングを実践し、サービスする高齢のメイドさんが楽しめる場所にしたいのです。一般的に高齢者は65歳以上の方を指すので、65歳という制限を設けました」
高齢者が働くメイド喫茶は全国でも珍しい。ビジネスとして興味があり、事業化してみたいという客が遠方から見学に来たこともあったという。
だがキッズバレイは社会福祉の一環として進めていく予定だ。
客単価600円、客数40人と仮定すると、月の収入はわずか2万4000円である。
あくまでも収入源は協賛金と補助金などとしている。
高齢者の居場所づくりのために今後も運営する方針で、高齢者が高齢者のためにサービスを提供し、双方が加齢を楽しめる活動になっている。
イド喫茶という形式でなくても、同様の場は必要だ。
ポジティブエイジングに貢献する活動の輪は広がっていくだろうか。
以上、その他詳細はBusiness Journalをご覧ください。
編集者:いまトピ編集部