信号無視の車に衝突…しかし相手の保険会社が10:0認めず「最も大切なこと」
埼玉県の事業者・A社の車両が青信号で交差点に進入したところ、右方向から信号無視で進入してきた車両に追突され、車両や車内の工具が故障し、運転していた運転手も負傷。追突してきた車両側が加入している損害保険会社は「A社にも過失がある」と主張して、事故発生から1年近くたっても、いまだに保険金が支払われない状況が続いているという。
A社は、車両に乗っていた社員が事故による恐怖から車の運転ができなくなり退職してしまうという副次的な被害まで受けたが、相手方の保険会社は「一般的な話として、衝突された側の保険会社が衝突してきた側との話し合いに応じているということは、衝突された側にも過失があると認識しているということになる」と話す。ドライブレコーダーに録画された事故発生時の映像を見た弁護士は「映像を見る限り10:0であり、10人の裁判官がいたら10人ともそう言うでしょう」というが、なぜ、保険会社側は10:0を認めようとしないのか。
事故が起きたのは昨年(2024年)3月のこと。事故による車両の故障を修理するため30~40万円の費用がかかったものの、相手方の保険会社はA社側の車両にも過失があるとして数万円しか支払わないと主張しているという。
「当方に過失がないのは明らかですが、もし相手が『9:1』だと主張しても受け入れるつもりでした。ですが相手側はもっと私たち側の過失割合が大きいと主張しているようで、払う気がないように感じます。まったく意味がわかりません。それだけではなく、運転していた社員がケガを負い事故の恐怖で『もう車を運転できない』となって、会社を辞めてしまったんです。これは本当に大きな損失です」(A社社長)
■保険会社によって保険金の支払いの渋さに差
なぜ、このような事態が起こるのか。大手損害保険会社社員はいう。
「保険会社によって、さらには同じ保険会社でも担当者によって、保険金の支払いの渋さに差があるのは事実です。また、担当者は多くの案件を抱えており、1件1件について詳細を把握していなかったり、保険会社間でのやりとりや意思疎通が十分ではなく、お互いにきちんと説明や主張が伝わらずに誤解が残ったままズルズルと話し合いが長引くというケースもあります」
山岸純法律事務所の山岸純弁護士はいう。
「年間30万件も起きている交通事故では、過去の数百万件の交通事故の例により、『事故の類型による過失割合』がほぼ決まっております。弁護士が愛用する公益財団法人日弁連交通事故相談センター発行の『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通称:赤い本)』には、約230件の『類型』と『修正要素』が記載されており、ほとんどの交通事故について、すぐに過失割合を算出することができます。今回の事故は、映像を見る限り『10:0』であり、10人の裁判官がいたら10人ともそう言うでしょう。
交通事故が起き、納得がいかない点があったら、それが『自分の思い違い』なのか、真実、過去の例を参照して正しいのか、判断するためにも弁護士に相談することが最も大切なことです。たいていの自動車保険には弁護士費用特約があるので、これを活用するに越したことはありません」
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編集者:いまトピ編集部