売れ残った「恵方巻き」、全量廃棄じゃなかった
![恵方巻き](https://ima.xgoo.jp/word/img/contents/4/61259.jpg)
節分の日にあたった2月2日。
例年同様、SNS上にはスーパーなどで夜になっても大量に恵方巻が売れ残っている様子の報告が多数寄せられ、食品廃棄の問題がクローズアップ。
ここ数年は毎年、この季節になると恵方巻の大量販売・廃棄が議論を呼ぶこととなっている。
だが、実は売れ残り商品は全量が廃棄されているわけではなかった。
一部は養豚農家向けの飼料としてリサイクルされていたのである。
毎年、一定量を受け入れている日本フードエコロジーセンター(J.FEC)では、
・専用の容器で食品関連事業者から持ち込まれた商品を開封
・中身を高圧洗浄機で洗い出した後に異物を手作業や金属探知機で除去し、破砕して水分とともに水分率78~80%のお粥状に加工
・貫流蒸気ボイラーや熱交換器、加熱ホールドタンクなどの専用設備で大腸菌やサルモネラ菌などの殺菌処理を行い、乳酸発酵によりpH4以下に調整して保存性を高めた液状飼料を製造
といったプロセスを経て、タンクローリーで養豚農家へ出荷している。
さらに油分や塩分が多いものなど飼料に不向きな食品については、加工後に関連会社であるさがみはらバイオガスパワー株式会社(SBP)へ移送。
メタン発酵によってバイオガスを発生させ、出力528kW(一般家庭約1000戸分に相当)のガス発電を行う形で、固定価格買取制度(FIT)を活用した売電事業を行っている。
J.FECのリキッド状(粥状)の飼料は一般配合飼料の半分程度の価格と安価なだけでなく、粉塵の発生がなくなるため肺炎などの疾病率が低下し、抗生物質の投与を軽減できるといった農家の声があり、安全で健康的な豚肉を消費者に提供できる飼料として評価が高い。
この飼料によって育てられたブランド豚肉は「優とん」「旨香豚」等として商標管理されており、一般の豚肉に比べ、オレイン酸が多く含まれ、コレステロール値も少ないヘルシーな豚肉となっている。
では、節分の時期には恵方巻はどれくらいの量、持ち込まれているのか。
「ある食品関連事業者さま3社から持ち込まれる食品の量でみますと、1月の一日平均が合計2444kgで、1月31~2月3日の一日平均が3284kgと約1.3倍になっており、この増加分の840kgがほぼ恵方巻分と考えられます」(J.FEC担当者)
単純に廃棄する場合と比較して、リサイクルの場合は食品関連事業者が負担するコストはどうなっているのか。
「食品廃棄物の種類や量、運搬コストなどによるため一概には言えませんが、弊社でリサイクルしていただくほうが単純に廃棄するより低コストとなる場合も多くあります」(J.FEC担当者)
「食品廃棄は発生しないことが理想だが、現実的にはゼロにすることは難しい。なので、こうしたリサイクルの動きが広まることは望ましいといえる」(大手小売りチェーン関係者)
以上、その他詳細はBusiness Journalをご覧ください。
編集者:いまトピ編集部