東進衛星予備校のとある校舎が「〇〇営業?」と話題…盛大にやらかす

今回注目したいのは、Xユーザーのレモンさんが18日に投稿したポスト。
「東進淫夢営業してて鬱」と綴られた投稿には、大学受験予備校「東進衛星予備校」の配布物と思われる写真が添えられており、その内容はパンフレットの他にボールペンや消しゴム、ティッシュがセットとなっているもの。
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そして、こちらのティッシュには「無料体験受付中」「いいよ! 来いよ! 東進に!」と、書かれていたのだった。
一見すると何の変哲もない、受験生を鼓舞する力強いメッセージに感じられる。しかし、この「いいよ! 来いよ!」は、ネット上でカルト的な人気を博すネットミーム「淫夢語録」にて、「野獣先輩」と呼ばれる人物の発言として認知されているフレーズなのだ。
前出の通り、現代では様々な企業がネットミームに注目し、思いがけないSNS投稿やCM動画を発信している。
つい先日も、陸上自衛隊が「ネットミームよくばりセット」とも呼ぶべきパネルを作成し、ネット上で大きな話題に。記者による取材の結果、連隊内で「チャリで来た。」などの人気ミームの指導を行ったことが明らかになった。
このように、様々な「公式」も積極的に取り入れているネットミームだが、この「淫夢語録」だけは話が別。元ネタが成人向けの映像作品であることから、通常の企業・団体では当該ミームをネタにするのは「タブー」として認識されているのだ。
しかし前出の通り、同ミームはネット上で広く認知されており、「淫夢語録」を使用することで通常では考えられない話題性を獲得するのも可能。一方で、使用企業の良識が問われる劇薬のような存在であり、ネット上では同ミームを使用して知名度を向上させる行為は「淫夢営業」と揶揄されている。
そうした背景もあり、件のポストは投稿からわずか数日で3,000件以上ものリポストを記録するほど話題に。Xユーザーからは「日常が淫夢に侵されつつある」「東進、マジかよ…?」「やりますねぇ!」など、驚きの声が続出する事態となった。
Sirabee編集部の取材に際し、ポスト投稿主・レモンさんも発見時の心境について、「なんだこれは、たまげたなあ」と、振り返っている。
そこで今回は「淫夢営業」の真偽をめぐり、東進衛星予備校を運営する「株式会社ナガセ」に詳しい話を聞いてみることに。すると、現代に生きる我々を脅かす、社会問題の実態が浮かび上がってきたのだ…。
過去にも数度、様々な機関の「淫夢案件」を調査・取材してきた記者だが、最も緊張するのが電話による取材の打診である。前出の通り「淫夢語録」はネット上で高い知名度を有しているが、それはネット上のあくまで「一部界隈」での話。
そのため、電話に出た人物が「淫夢語録を知らない」という確率の方が高く、「今回の件をどう説明するべきか?」という難題が付きまとうことになる。そこで今回も「人気のネットミームに似ていることから話題になっている」とだけ説明し、詳細について確認してもらうことに。
すると社内確認の結果、強い危機感を覚えたのか、取材を打診した当日に早々の回答が得られたのだった。
まず、当該のティッシュについて、ナガセの担当者は「東進本部が行っている公式のものではなく、ある校舎が自作し、配布していたものになります」と説明する。
また「担当者に確認したところ、元ネタとなる当該のネットミームを知らず、よく認識しないまま使用しておりました」との回答が得られたのだ。当該の配布物については「全て処分いたしました」とのことである。
繰り返しになるが、「淫夢語録」および淫夢ネタというのは、本来であれば公の場で使用するのがためらわれる存在である。
また、淫夢に関連した「指摘したら淫夢厨ってバレるな…」という思想(ネットミーム)が存在するのも大きな問題のひとつ。
通常であれば企業等が「淫夢を連想させるコンテンツ」を発信する際、関係者の中に淫夢を知っている人物がいれば、事前に指摘して世に出る前に事故を防ぐことも可能である。
しかし、「それは淫夢ネタです」と指摘することは、「なぜこのフレーズを使用するのが問題なのか」を説明することが前提となり、即ち「自分は淫夢ネタの識者(=淫夢厨)である」という動かぬ証拠になってしまうのだ。
つまり、企業にとっては事故を未然に防ぐ有益な指摘だが、指摘した人物にとっては「淫夢を知っていることが周囲(職場)にバレる」という、とんでもなく大きな十字架を背負う事態に繋がることとなる。
そのため、過去に発覚した「淫夢営業」の中には、関係者らによる「指摘したら淫夢厨ってバレるな…」という考えが、少なからず影響を及ぼしているとも考えられるのだ。
昨今では神奈川県警のXポスト、国土交通省の関連機関の申請書類に、それぞれ「淫夢営業」と思われる表現が確認されている。
近年、「野獣先輩ダンス」と呼ばれるダンスや、AI生成による使用楽曲が若年層を中心にブームを博すなど、元ネタを知る人間からすれば信じがたいムーブメントを見せている。
且つ厄介なことに、同語録の中には今回の「いいよ! 来いよ!」(114514)のように、一般的に使用されてもおかしくないフレーズが複数存在するのだ。
そのため、「淫夢語録」を知らずに「最近よく耳にするから」といった理由で使用したり、偶然使用したフレーズが「淫夢語録にも存在した」というケースは、十分にあり得るのだ。
実際、今回の東進の配布物に関しても、ある意味では一連の社会問題の被害者と言えるだろう。「教育機関」という立場を考えると、今回の件に関してコメントを発すること自体がマイナスに影響する可能性も考えられる。しかし本件に対し、ナガセは逃げたりはぐらかしたりせず、真摯な対応を見せてくれた。
今後こうした問題は様々な場所で顕在化し、思わぬ問題に発展していくと考えられる。社会が真剣に「淫夢」や「野獣先輩」と向き合わなければならない日は、そう遠くないのかもしれない。
以上、Sirabeeから紹介しました。
編集者:いまトピ編集部