2025/4/3 10:53

ユニクロ綿密な戦略…世界的なブランドの意識 「値下げ販売コーナーにはあの色が…」

ユニクロ

少し前、X(旧Twitter)上に、ユニクロの値下げ販売コーナーにマスタードやピンクの衣類が数多く陳列されているという情報がポストされ、話題になっていた。ユニクロといえば、ベーシックなデザインのアイテムをメインとし、幅広い年代から愛用されている日本が誇る世界的ファストファッションブランド。そんなユニクロの定番商品やイチ押し商品は、カラバリ(カラーバリエーション)の多さでも知られている。ホワイト、ブラック、ベージュ、グレー、ネイビー、ブラウンといったシックな色はもちろん、レッド、ブルー、イエロー、グリーン、オレンジといったビビッドな色や、ピンクやパープルといった着る人を選びそうな色も揃えており、幅広いラインアップとなっているのである。

しかし、その多色展開の豊富さが仇となり、売れ残りやすい色があるということなのだろうか。ユニクロに「ユニクロではカラーがピンクとマスタードの衣類は売れ残る傾向があるものなのか」「逆に、よく売れるカラーというのはあるものなのか?」と質問したところ、次のような回答を得られた。

「シーズンや商品によって売れ筋が変わってきますので、特にピンクとマスタードが売れ残る傾向にあるということはありません。よく売れるカラーに関しても商品ごとに異なりますが、絶対量としては白や黒などのベーシックなカラーが売れる傾向にあります。繰り返しになりますが、その年のトレンドカラー、素材と色の組み合わせなどによって売れ行きにも差が出てきますので、毎年特定の色が売れ残るという傾向はございません」(ユニクロ広報)

 この回答を踏まえ、10年以上のファッションライター経験を持つコラムニスト・堺屋大地氏に解説してもらう。

■姉妹ブランド『GU』の影響も関係あり?
「ユニクロ広報の回答を前提として、さらに詳しく解説させていただきます。たしかにその年によってトレンドの色は変わりますし、どういった商品で使われているかによってもカラーごとの売れ行きは変わってきます。ですからなかには、ピンクやマスタードがよく売れる年があったり、よく売れるアイテムもあったりするはずです。

ただ、ユニクロ広報が『絶対量としては白や黒などのベーシックなカラーが売れる傾向』と言っていますので、それはつまり定番カラーに比べれば、相対的にピンクやマスタードが売り場ではけにくいということでもあるでしょう。

そもそも、同じ商品のカラバリでもすべての色が均等に生産されているわけではなく、定番色は大量に生産される反面、着る人を選ぶような色は生産数を抑えるもの。にもかかわらず売れ残るということは、そのカラーはよっぽど売れていないということが推察できます」(堺屋氏)

売れる色・売れない色はほかのアパレルブランドにも通ずることなのだろうか。
「ブランドのイメージや顧客層によって、ピンクやマスタードといった色が鉄板の売れ筋アイテムというブランドもあるので、一概には言えません。ですがユニクロのように老若男女をターゲットにしており、国内だけで何百店舗も展開している巨大チェーンのブランド全体で考えれば、ホワイト、ブラックなどのモノトーンの色が売れやすく、レッドやピンクやイエローやオレンジといった派手な印象のある色が、比較的に売れにくいという傾向はあるでしょう」

ユニクロの場合は姉妹ブランドとも言える『GU(ジーユー)』の存在も関係してくるという。

「ユニクロは若者から中高年まで愛用されるブランドですが、ファーストリテイリングにはGUもあり、ユニクロとの差別化を図っています。GUはユニクロより全体的に低価格帯の商品を揃えており、デザインもより世界的なトレンドを意識したアイテムが多いため、比較的に低年齢層をターゲットにしたブランドになっています。ちなみにファストファッションの雄として知られるユニクロですが、近年はユニクロの価格設定を高く感じてなかなか手が出せないという若者も多いのです。

そういった背景からファーストリテイリング内の顧客層で言うと、ファッション感度が高くピンクやマスタードも好んだり着こなしたりできる10代・20代の若者は、GUに流れている傾向があります。そのため、ユニクロでは若者やファッション玄人でないと似合わなそうな派手な印象の色が、売れ残りやすくなっているということもあるかもしれません」(同)

■マーケティングはきちんとしているのか
ユニクロほどの世界的なブランドでも、マーケティングによって売れ残るカラーが出てしまうことを防げないのだろうか。

「実はきちんと綿密なマーケティングをしているからこそ、そういった売れ残りが出ているのです。まず、売れ残りが出ないようにするのはとても簡単。生産数を確実に売れる少数に絞ればいいだけのことだからです。けれどそうすると、その商品のその色がほしいと思ってくれている顧客にいき渡らなくなってしまう。ですから色によって、一定数の売れ残りが出てしまうことはやむをえないわけです」(同)

そのうえで、アパレル業界で知られている重要な概念があるそうだ。

「今回、一番重要なポイントとなるのは『捨て色』という概念です。ユニクロのような大型チェーン店で、各店舗の売り場面積も広いブランドでは特に重要視される概念なのですが、店舗でディスプレイされているその商品のカラバリを見て、“比較すること”で購買意欲が高まるという消費者はとても多い。

その商品が白しかなければ比較できませんが、白も黒も赤も青も黄色もピンクもあれば、消費者はそのなかから自分が好きな色や自分に似合いそうな色を比較して見つけ出そうとするもの。白だけではそれほど売れなかった商品が、比較対象で派手めのピンクなどと並べておくことによって、定番の白が爆売れするという現象が起こることも少なくありません。

比較してから購入を決断したいという心理的習性が働く人が、非常に多いということです。ですから売れ残る可能性が高い『捨て色』でも、その商品を全体的に売るための戦略として、比較対象としてわざわざカラバリに加えられているのでしょう。ファーストリテイリングが公式に発表しているわけではないのであくまで俗説ですが、ユニクロでは多色展開する場合、20%程度を売れにくい派手めな色で生産していると言われています」(同)

最後に堺屋氏に、今季のユニクロアイテムのおすすめを伺った。

「今季の完全新作というわけではなく、ユニクロでは定番で毎年ブラッシュアップされて登場しているアイテムですが、『ブロックテックパーカ』(6990円)や『オックスフォードシャツ』(2990円)などは、高い機能性と洗練されたデザイン性を兼ね備えており、買って損なしのコスパの良さを誇っています。ちなみに今季の『ブロックテックパーカ』はブラック、ネイビー、オリーブ、オレンジとカラバリがあり、オレンジは着こなすのが少々難しいですが、ブラックやネイビーは万人に似合う服となっているのでおすすめです」(同)

――ぜひユニクロ店舗に足を運び、カラバリが豊富で色鮮やかにディスプレイされた売り場で、自分に似合うアイテムを見つけてみてほしい。

詳細はビジネスジャーナルをご覧下さい。

ユニクロ、マスタードやピンクが売れ残り?綿密なマーケ戦略と「捨て色」の意識 | ビジネスジャーナルユニクロ、マスタードやピンクが売れ残り?綿密なマーケ戦略と「捨て色」の意識 | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部