ガスト、20円で「食べ残し持ち帰りOK」

ファミリーレストランの「ガスト」では食べ残した料理を持ち帰れることを、知らない人は少なくないかもしれない。
お客はデジタルメニューブックから「もったいないパック」(税込20円)をリクエストして容器を取り寄せ、食べ残しを自分で詰めて持ち帰るというスタイルだ。
食べ残しの持ち帰りを許していない飲食店も多いなか、なぜガストはOKなのだろうか。
ガストの運営元へ、ビジネスジャーナルが取材。
ガストに限らず、すかいらーくホールディングス(HD)が運営する「バーミヤン」「ジョナサン」なども持ち帰りに対応している。背景には、すかいらーくHDが食品ロス削減に注力していることがある。
食べ残しの持ち帰りができないチェーンも多いなか、どのように可能としているのか。すかいらーくHDは次のように説明する。
「取り組みの背景としては、約3000 店舗のファミリーレストランを展開する企業として、食品ロス削減を重要な社会課題と認識し、2030年までに2018年比で 50%の食品廃棄を削減する目標を立て、取り組みを推進しています。以前から、お子様が食べきれず残してしまった時や、多く頼み過ぎてしまった時に、お客様のご要望に応じてお持ち帰り用の容器をご提供していました」
「こうしたサービスをより多くのお客様に知っていただくために、『もったいないパック』と名付け、デジタルメニューブックでご注文いただけるようにしたり、推奨動画を配信するなどの取り組みを行っています(2020年9月~)」
現在もったいないパックについては、税込20円にてご提供させていただいております。食べきれなかった食材のお持ち帰りにつきましては、お客様の責任の範囲でお持ち帰りいただく形となりますため、『もったいないパック』を提供する際は食品衛生上の注意事項をしっかりとご案内するようにしています(注文用のタブレット端末にて記載/お持ち帰り用の袋にも記載)。お店では、お持ち帰り容器と袋をお持ちし、お客様ご自身で容器に入れお持ち帰りいただく形としております」
尚、持ち帰る際の注意事項として、
・刺身などの生ものや半生の食材は避けてください
・お持ち帰りのお料理は冷蔵庫に保管し、お早めにお召し上がりください
・中心部まで十分に再加熱してください
としている。
すかいらーくグループとしては、「もったいないパック」以外にも食品ロス削減のための取り組みを行っている。
ユニークなものとしては、しゃぶしゃぶ食べ放題「しゃぶ葉」の全店で「こまめどりプロジェクト」を実施。客が食事終了時にきれいに食べたテーブル上の写真を撮影し、会計時にスタッフに提示すると、もれなくドリンクバー110円券をプレゼントされるというものだ。
外食チェーン関係者は語る。
「店舗側にとって客が食べ残しを持ち帰ってくれるメリットとしては、食品廃棄コストの削減あげられます。廃棄する食品を一時保管しておくためには労力、手間や保管スペースも必要になるので、トータルでみると店舗にかかる負担は低くはないです。『あの店は食べ残しても持ち帰ることができる』という点が客の来店動機につながり集客効果が生まれることも期待できるでしょう」
「一方、デメリットとしては、客が持ち帰った料理が原因で食中毒などの体調不良を起こすといったトラブルが発生するリスクがあることです。小規模な個人店の場合は、持ち帰り用の容器を仕入れて保管しておくというのは、それなりに手間がかかり、保管スペースの問題もあるでしょう。ですので飲食店としては、そのメリットとデメリットを天秤にかけて、個々の事情に応じて判断をするということになります」
政府が持ち帰りを推進しており、社会的にも食品廃棄削減が重視される風潮が強まっている。今後、持ち帰りに対応する店が増えていきそうだ。
編集者:いまトピ編集部