2025/9/22 16:26

LINE AI「まさかの高性能」実際に使ったら判明

LINE

●この記事のポイント
・LINE AIは日常会話だけでなく、議事録作成や提案書の下書きなどビジネス利用にも活用可能。
・ChatGPTやClaudeに比べ、日本語のニュアンス理解と導入の手軽さで強みを持ち、幅広い層に浸透する余地がある。
・国内9,600万人の利用基盤を背景に、生活インフラとしてのLINEに組み込まれたAIが新たな市場を切り開きつつある。

 ChatGPTやClaudeといった海外製の生成AIが注目を集めるなか、国内発の「LINE AI」が「意外と高性能」とSNSで話題になっている。本当に“意外”なのか。それとも海外勢に劣らぬ実力を秘めているのか。実際に検証し、さらに専門家の分析とともにビジネス活用の可能性や他AIとの違いを探った。

会話だけでなく「ちょうど良い日本語表現」に強み
 まずはシンプルな依頼から試してみた。

依頼:「会議の案内文をざっくり考えて」
LINE AIの回答:
 「明日の定例会議についてご案内です。10時から会議室Bで実施予定です。アジェンダは①進捗確認 ②新規案件共有 ③質疑応答 です。よろしくお願いします。」
ChatGPTの回答:
 「下記のとおり会議を開催いたします。日時:明日10時、場所:会議室B。議題:1.進捗報告 2.新規案件 3.質疑応答。何卒ご参加のほどお願い申し上げます。」

ChatGPTの表現は正確だがやや堅苦しい。一方LINE AIは、日常の社内連絡に近い「ちょうど良いカジュアルさ」を出せていた。この自然さは、社内コミュニケーションや顧客対応など「言葉の温度感」が重要な場面で大きな価値を持つ。

 次に業務シーンを想定して試用した。

1. 議事録の要約
長文の会議メモをそのまま投入すると、LINE AIは「議題」「決定事項」「次回タスク」に分けて整理。ChatGPTの要約も精度は高いが、LINE AIの方が見出し付きで即座に共有できる形になっていた。

2. 営業メールのたたき台
「新製品を紹介する営業メールを考えて」と依頼すると、LINE AIは「件名案」「冒頭文」「クロージング」まで含めた2種類の例文を提示。営業担当者がゼロから書く負担を減らせる。

3. 企画アイデアの壁打ち
「SNSキャンペーンのアイデアを5つ」と指示すると、「フォロー&リポスト型」「ハッシュタグ投稿型」「限定スタンプ配布」など、日本市場に馴染みやすい施策が返ってきた。ChatGPTでは海外事例が混じる傾向があったが、LINE AIは国内の利用文脈に合った提案が多い。

4. 多言語対応
海外顧客向けの英文メールを依頼すると、自然で丁寧な英文を生成。その後「これをもう少しカジュアルに」と指示すると、柔らかい表現に調整してくれた。翻訳専用ツールよりも柔軟にトーンを変えられるのは魅力だ。

実際に導入した企業等の声
中小企業の営業担当者の声
「以前は毎回、提案書のアウトラインを考えるのに数時間かかっていました。今は商談前にLINE AIに“新規サービス提案の骨子を3つ”と投げるだけでたたき台が出てきます。準備時間が半分以下になりました」

スタートアップ経営者の声
「社員が10人しかいないので事務作業の負担が大きい。LINE AIで議事録や顧客向けの案内文を作成し、必要な部分だけ修正する運用に変えてから、バックオフィス業務が一気に効率化しました」

個人クリエイターの声
「SNS用のキャッチコピーやキャンペーン案をLINE AIに考えてもらうと、数分で5~6案出てきます。その中から1つを磨き上げるだけでよくなったので、アイデア出しのストレスが減りました」

 こうした声から見えてくるのは、「LINE AIは特別なスキルがなくてもすぐに使える」点が評価されていることだ。

 ITジャーナリストの小平貴裕氏は、他の生成AIとの違いと住み分けについて、以下のように分析する。

ChatGPT:知識量が豊富で調査や専門分析に強い。ただし日本語はやや定型的。
Claude:長文処理に優れるが、日本語最適化は途上。
LINE AI:知識の深掘りには弱いが、日本語のニュアンス理解とLINEという生活インフラへの統合が大きな差別化要因。

「つまり、『高度な情報探索』にはChatGPT、『長文処理』にはClaude、『日常業務やコミュニケーション補助』にはLINE AIという役割分担が見えてきます。現状ではこのような住み分けといえますが、今後の進展次第で、大きく勢力図は変わってくるでしょう」

 加えて、 LINEならではの強みとして次のように指摘。

圧倒的なユーザー基盤:国内9,600万人以上が利用。新しいアプリを導入する必要がない。
生活導線に統合:チャット画面からシームレスに利用できるため、「調べる」や「まとめる」が日常の流れに自然に入り込む。
心理的ハードルの低さ:普段から使い慣れているLINEだからこそ、情報を入力する抵抗感が少ない。

「特にリソースの限られた中小企業や個人事業主にとっては、導入コストが事実上ゼロである点が大きな魅力です。大企業では、すでに導入されているマイクロソフト系のAIや、Google系のソフトを活用する傾向がありますが、LINEであれば中小企業にとっても参入障壁が低く、一気に普及する可能性はあります」

プライバシーと信頼性の課題
 一方で、LINEはこれまで「個人情報管理」について何度も議論を呼んできた。だからこそ、AI利用においてはデータの扱いがどうなるかが注目される。ビジネス用途で本格的に普及するには、プライバシー保護の透明性をどこまで担保できるかが鍵になるだろう。

 LINE AIはChatGPTの完全な代替ではない。しかし「誰でも今すぐ、生活や仕事の延長で自然に使えるAI」としての存在感は確かだ。海外勢が「高度な分析ツール」として進化する一方、LINE AIは「最も身近なアシスタント」としての立ち位置を築けるかもしれない。

 AIが生活とビジネスに溶け込む未来。その扉を開くのは、意外にも日本発のLINE AIなのかもしれない。

以上、ビジネスジャーナルから紹介しました。

LINE AI、「会話だけじゃなく意外に高性能」…実際に試して判明、ChatGPTとの差異 | ビジネスジャーナルLINE AI、「会話だけじゃなく意外に高性能」…実際に試して判明、ChatGPTとの差異 | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部