2025/9/24 13:13

車が5時間の立ち往生、迷惑すぎる「これアカンやつや」

海

神奈川県・逗子市海岸の浜辺で立ち往生した車両が、消防隊員によって救出される光景が話題に。ルールを度外視した観光客の振る舞いに疑問の声が多数寄せられている。
sirabeeより紹介する。

7日、とあるXユーザーが「これアカンやつや」と綴ったポストを投稿。

当該のポストには夕暮れ時の海岸で撮影された写真が添えられており、海を背に、波打ち際で立ち往生している車の様子が確認できる。タイヤの3分の1ほどが砂に埋まっており、自走で脱出するのは不可能だろう。

その後も現地の様子が都度投稿され、どうやら最終的には消防署によるレスキューが行なわれたようだ。

こちらの光景は瞬く間に話題となり、Xユーザーからは「何やってるんだか…」「なんでそんな場所に、車で入ったんだ」「BMWの産卵?」「迷惑な観光客だな」など、驚きと軽蔑の感情が入り混じったコメントが多数寄せられている。

そこで今回は、逗子市をはじめとする関係各所に当時の状況について、詳しい話を聞いてみることに。その結果、驚きの事実が多数判明したのだ。

9月7日当日、逗子海岸で現地の様子を見ていたというAさん。

当時の状況について「17時ごろ、海岸に進入してきた車両を確認しました。海水が侵食した緩い砂浜へ後輪から海面方向へ移動し、しばらくして砂を掻き始めていることを視認しました。当初は8人程度での作業で、当事者一行のほか数名はビーチに訪れた外国の方が手助けしていたようで、周りの人間が懸命に掻き出しているように見えました」と、振り返っている。

現地では海の家の解体作業が行なわれており、工事業者や関係者の運転する車両が進入してくるケースも珍しくなかったという。そのため、A三も当該車両が「一般の車なのか」については、瞬時に判断できなかったのだ。

車の所有者らはJAF(日本自動車連盟)に救助を要請するも、断られてしまう。そこで、現地にいた工事業者が油圧ショベルで救出に向かうも、車の所有者らが車両が傷つくことを恐れたため、救出を断念。

かくして、消防に救出を依頼することとなったのだ。

本件に関し、Aさんは「そもそも、逗子浜のジェットは浜東西両端からの入水しか見たことがありません。また、海の家関係者の間では、SUVであっても波打ちへ車を寄せないのは常識行動です。砂の状況も読めないほど、経験の浅い方々だった可能性もあります」を、眉をひそめる。

加えて、本件が地元民の公共的な迷惑や、居合わせた観光客らへ危険がおよぶリスクだけでなく、地元住民と海岸の施設(海の家など)との軋轢を生じさせる可能性があると苦言を呈していた。

救出に当たった逗子市消防本部・消防予防課は今回のケースについて、「7日18時15分、ジェットスキーを海から引き上げるため車両を浜に乗り入れて動けなくなったと、関係者から119番通報を受けています」と、説明する。

到着後の対応については、「Xの写真にもある状態で、前後輪の3分の1程度が砂に埋まり、前輪付近まで波が来ていた状態でした。スコップで砂の除去作業を行ないながら、自走できる場所まで車両を押して移動させ、21時30分に作業完了しております。車両につきましても、自走できる状態でした」とのこと。

本件には様々な「例外」が存在しており、まずは車両の侵入経路。

当該車両が進入したと思われる場所は、通常ならバリカー(車止め)にて車両が進入できないようになっている。しかし前出の通り、海の家の解体作業中であったため、事業者・関係者がバリカーを外していた可能性が高い。たとえ、外していなかったとしても、普段からバリカーに施錠はされていないため、「外そうと思えば外せる」状態であったという。

また、このような車両の救出は通常、消防の「業務外の対応」に当たることも判明。

逗子市消防本部の担当者は「民間業者では対応できないと断られていることから、消防本部で対応しております。災害対応が優先であるため、災害時には対応を打ち切る等のことを関係者には伝え、対応いたしました」と、説明している。

このようにタイヤが砂浜に埋まってしまった場合の対応については、「基本的には自力での対応は難しいため、対応できる業者を探していくことになると思います。危険な事例につきましては、車両を移動させる際の運転者等の負傷や、沖合に漂流してしまった場合の船舶等への影響、燃料やオイルの流出による海業の影響が考えられます」と、分析していた。

なお、JAFに確認したところ、JAFでは「砂地でのスタック」にも対応自体はしていることが判明。しかし、「ロードサービス利用約款」の第14条にて「ロードサービスをご利用いただけない場合等」を定めており、今回のケースは何らかの理由でこちらに抵触したものと思われる。

本件に関し、逗子海岸を管理する神奈川県・河港課からは「他の利用者の安全の観点のほか、海岸は自動車の通行に適しない場合もあります。基本的に車止め等で進入できないようになっていますので、海岸へ自動車で乗り入れることは避けて頂きたいです」と、コメントしている。

今回の一件は、「市道」のルートから、車が進入したものと言われており、市道を管理する逗子市の経済観光課 担当者からは「今後は、バリカーに鍵をつけるなどの対策を行なっていきます」との回答が得られた。

市の方でも対応が不十分な部分が無かったワケではないが、流石にこのようなケースは想定していなかったのだろう。レジャーを楽しむ際は、自身の行動が「多方面に生じる迷惑」に波及しないよう、最低限の慎みを持って行動したい。

逗子海岸に無断進入した車が5時間の立ち往生、「迷惑すぎる」と波紋 救出した消防署に事情を聞いた – Sirabee逗子海岸に無断進入した車が5時間の立ち往生、「迷惑すぎる」と波紋 救出した消防署に事情を聞いた – Sirabee

編集者:いまトピ編集部