高速バスでの裏ワザ、最悪捕まるからやめて

長距離移動に便利な高速バス。1人で利用する際、隣の席にどのような人が座るのか、予約の段階で不安になった経験はありませんか。
「できれば、隣は空席のままであってほしい」と願ってしまうのも、正直な気持ちかもしれません。
そんな中、静かに広まっているのが、2席分の座席を予約し、発車直前に1席だけをキャンセルする『相席ブロック』です。
隣に誰も座らない快適な空間を、安価なキャンセル料だけで手に入れようというものです。
SNSでも「迷惑なので対策してほしい」との声があがる一方で、「不快さを避けたい気持ちは分かる」と、共感の声も少なくありません。
そもそも、高速バスで『相席ブロック』をすることに、法的な問題はないのでしょうか。
大阪府大阪市で、まこと法律事務所を運営する北村真一弁護士にうかがいました。
――キャンセル料を払っていても、『相席ブロック』は問題になるのでしょうか?
はい、法的責任を問われる可能性はゼロではありません。
大前提として、『最初から乗るつもりがない席を予約する』という行為は、バス会社に『乗車する意思のある、通常の予約だ』と誤解させ、欺く行為にあたります。
そして、直前にキャンセルすれば、本来その席を予約できたはずのほかの乗客の機会を奪い、バス会社に経済的な損害を与えます。
そのため、バス会社から損害賠償を請求される可能性があります。
――「犯罪になる」というのは本当ですか?
バス会社を欺き、通常の予約業務を妨害していると評価され、『偽計業務妨害罪』という犯罪が成立する可能性があります。
この罪の刑罰は、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金であり、決して軽いものではありません。
特に、お盆や年末年始など、バスの需要が高まる時期にこの行為を行えば、バス会社に損害が生じる可能性がより高まるため、罪に問われるリスクは上がるでしょう。
もともと多くのバス会社は、利用者の急な予定変更などを想定し、良心的なキャンセル料を設定していました。
しかし、『相席ブロック』のような一部の迷惑行為が広まった結果、バス会社側も対策を取らざるを得なくなっています。
キャンセル料の値上げや、一度に予約できる席数を減らすなど、ルールが厳格化されているのです。
一方で「1人で広々と席を使いたい」「隣にどんな人が来るか不安」という声があるのもまた事実。
最近ではバス会社でも、そうしたニーズに応えるために、『2席分を割安で確保できるダブルシートプラン』など、正規に2席使えるプランを用意しているケースも出てきました。
ルールや法律の穴を探すのではなく、お互いが思いやりを持って想像力を働かせることが、すべての人にとって、安全で快適な移動空間ができていく近道かもしれませんね。
詳細はgrapeをご覧ください。
編集者:いまトピ編集部