置き忘れの「傘」持って行っていい?思わぬトラブルになる可能性も…

外を歩いていたら突然雨が降ってきて、近くのコンビニエンスストアの傘立てに刺さっていたビニール傘を拝借する…。
街中でこんな行為を見かけたことがある人もいるのではないでしょうか。
確かに、傘は雨が上がれば不要な荷物になり、立ち寄った店舗などに置き忘れて帰ってしまうことがあるかもしれません。
しかし、この『置き忘れた傘』をほかの人が持ち帰ったり、お店側が処分したりすると、思わぬトラブルにつながることがあるようです。
忘れ物である傘の扱いは、法律でどのように定められているのでしょうか。
東京都にあるアトム法律事務所新宿支部の松井浩一郎弁護士に話を聞きました。
――置き忘れた傘は、法律上だと誰のものと考えられるのでしょうか?
傘のような忘れ物が誰のものになるかは、『占有』という考え方で判断されます。
占有とは、簡単にいうと『その物を事実上支配している状態』のことをいいます。
基本的には、傘は持っていた人、つまり元の持ち主の所有物とみなすのが自然です。
ただし、過去の裁判では例外的な判断もあります。
例えば1919年の裁判では、「客が旅館に置き忘れた財布を、旅館の主人が事実上管理していた」と認められました。
つまり、忘れ物であっても、その場所を管理する人が占有していると見なされる場合があるということです。
そのため、傘をお店に置き忘れた場合、お店の敷地内にあり、店員が拾って保管しているような状況なら、「お店側が占有している」と判断される可能性があります。
――つまり、お店側が置き忘れた傘を処分するのも、違法になり得るのですか?
『遺失物法』という法律では、拾った物はすぐに持ち主へ返すか、警察に届けるよう定められています。
そのため、お店が警察に届けずに処分してしまうと、違法な行為と言われてしまう可能性があります。
とはいえ、ビニール傘のように安価なものは、一定期間保管した後、通常のゴミとして処分されることも少なくありません。
実際のところ、こうしたケースが違法性を伴うものとして問題になることは、ほとんどないと考えられます。
状況によっては、窃盗罪にあたる可能性があります。
例えば、傘を置き忘れてから数分しか経っていない場合や、持ち主がお店の中にいる場合は、その傘はまだ持ち主の管理下にあると考えられます。
置き忘れた傘を見ると「もう使われないだろう」と思ってしまいがちですが、法律上はあくまで持ち主の所有物です。
安易に持ち帰ると、トラブルにつながるおそれがあります。
詳細はgrapeをご覧ください。
編集者:いまトピ編集部
