2024/3/19 12:57

アマゾン、「過剰な〇〇」が「気持ち悪い」と反感…「休憩室の自販機にも監視カメラ」の衝撃

アマゾン

大手ECサイト運営会社アマゾン・ドット・コムの物流倉庫。
その休憩室に設置された自動販売機に監視カメラが内蔵されており、社員の様子を撮影していたことが問題となっている。

米国メディア「Sahan Journal」の報道によれば、アマゾン側はカメラの誤作動によるものだと説明しているものの、現地の労働団体などが問題視している。

アマゾンの社員監視の厳しさは、政府も対応に乗り出すほどのレベル。
倉庫では従業員によるスキャナーの利用履歴をデータとして保管・分析し、従業員の評価や教育、業務効率の向上などに活用しているが、フランスでは今年1月、情報保護機関(CNIL)が過度な監視システムを導入するなどの一般データ保護規則(GDPR)違反があるとして、同社に罰金3200万ユーロ(約51億5000万円)を課すことを決定した。

・スキャンの間隔が1.25秒以下になるとエラーが表示される
・10分間スキャンしないと、動作していないとみなされる
・1~10分間のスキャン中断は「遅延」とみなされる

という措置についても、GDPRに違反していると判断した。

ニューズフロントLLPのパートナーの小久保重信氏はいう。

「習熟度の低い人材でも働けるようにするため、たとえば配達ドライバー向けには、車間距離やシートベルトの装着状況、急ブレーキの利用などさまざまな点を監視して警告を発するといったAIカメラシステムを開発し、配達車両に搭載していった。アマゾンとしては『ドライバーの安全を守るため』というロジックなのだが、極端に効率化を重視する同社はこうしたシステムにAIなど高度なテクノロジーを導入し、さらに評価・教育システムに連動させるため、世間からは『気持ち悪い』という嫌悪感を抱かれやすい面がある。」

「アマゾンが他社と比べて特段に社員への監視が強いというわけではないだろうが、『巨人』すぎるあまり、特に日本では『システムによる自動化』『監視』といったキーワードがことさらに強調されて報道されがちだとも感じる。」

アマゾンによるワーカーの管理システムの自動化・効率化の追求は、日本でも問題を生んでいる。

アマゾンの荷物を個人事業主が配達する仕組み「Amazon Flex(アマゾン・フレックス)」では、配達する荷物量や報酬、ドライバーに対する評価がアルゴリズムで決められ、評価が低いとアプリのアカウントが停止され事実上の解雇となってしまう。

今年1月には、アマゾンジャパンと業務委託契約を結ぶ男性ドライバーが労働組合を結成し、同社に団体交渉を申し入れるという事案が発生。

「1時間に20個以上の荷物を配送しないといけないオファーが多い」

「休憩を取る時間がなく、トイレを我慢したり、信号待ちの間におにぎりを食べて食事を済ますこともある」

「報酬は1時間あたり約1600円であり、配達用車両の購入費や燃料費、各種保険料などはドライバーの自己負担、配達員は労災保険もかけられていない」

中堅IT企業役員はいう。

「働き手がいるということはニーズがあるということなので、今後も普及はしていくだろう。ただ、アマゾン・フレックスが始まった当初と比べて事実上の日給はかなり下がっており、一日200個ほど配送して日給1万円ちょっとでは、かなり厳しく無理がある。アマゾンから荷物配送を委託された業者と契約する個人事業主が業務中に負傷した事案について労災が認定されるというケースも出てきており、大きな見直しがこれから進むだろう」

以上、Business Journalからお届けしました。

アマゾン、極限の効率化&社員監視システムが「気持ち悪い」と反感買う理由 | ビジネスジャーナルアマゾン、極限の効率化&社員監視システムが「気持ち悪い」と反感買う理由 | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部