『紅白』出演バンド、大炎上「周りの大人達止めなかったんだろうか」
昨年末の日本レコード大賞に輝いたスリーピースバンド・Mrs. GREEN APPLEが、かつてないほどの非難を浴びている。問題となったのは、6月12日夜に公式YouTubeで公開された『コロンブス』のミュージックビデオだ。
楽曲は同日リリースの新曲で、コカ・コーラ社のキャンペーンソングというタイアップつき。曲名通り、史実におけるクリストファー・コロンブスとコーラを重ね、「炭酸の創造」「愛を飲み干したい」「渇いたココロに注がれる」といった歌詞が並ぶ。
メンバーはそれぞれコロンブス、ナポレオン、ベートーベンに扮し、発見した家でパーティーをする類人猿に、楽器演奏などの“文明”を説いていく。中には人力車を引かせるほか、敬礼させる描写もあるのだが、これが猛烈な批判を呼んでいるのだ。
SNSや動画のコメント欄には、《コロニアニズムを知らんのか? 鎖国してる気? お前らやったことは差別なんだよ》《むしろなぜこれが複数の組織のチェックを通って世に出たのかを学びたくなるレベル》《周りの大人達止めなかったんだろうか》《事務所もレコード会社もこれ見てヤバいと思わなかったの? そもそも何でこの企画が通るの?》など、問題視する意見が大量に並んでいる。
これは、主にアメリカ国内において、近年のコロンブス評が“英雄”から“アメリカ植民地主義の始祖”とコペルニクス的な転回が起きていることに起因する。
「かつて英雄視されていたコロンブスだが、近年では侵略者や奴隷商人のイメージが強い。先住民を虐殺・略奪し、感染症を持ち込み、大量死を招いた負の面が悪い意味で注目され、全米で銅像の破壊運動も起きています。コロンブスがアメリカ大陸を発見した日として制定された祝日『コロンブスデー』も、近年では『先住民の日』とネイティブアメリカン側に寄り添った呼称に変更されつつある」(米駐在員)
ファンからは擁護も目立つが、こうした人物の名前を曲名にすることは、現代において厳しい状況になっているようだ。
こうして、歴史的背景に不適切な演出が重なったことで、同楽曲は大炎上とも呼べるほどの騒動に発展。
《イエローモンキー呼ばわりされていた側が「教化」を映像化するキツさが特に…》《侵略貴族が猿化した住民に馬車を引かせてるよ? 有り得ない》《コロンブスは植民地開拓をして奴隷売買に手をつけ、無害な彼らを強制労働させてた》など批判は留まるところを知らず、Xでは「ミセス炎上」「コロンブス」などとトレンド入りも果たす不名誉な事態となった。
「今年から1万円札に描かれる渋沢栄一は近代日本経済の父と言われるが、生涯で何十人もの愛人や妾を囲った側面がある。同じく近代化に寄与したと言われる福沢諭吉だって、『脱亜論』はその後のアジア侵略・覇権主義の思想的礎になった面がある。このように、功罪というのはある種、仕方のない部分ではあるでしょう」(ジャーナリスト)
こうした見解もある一方で、「ミセス」が海外に与える影響を考えると、特段問題視せざるを得ない部分もあるのだ。
「アニメソングも手掛ける『ミセス』はクールジャパン事業で輸出され、海外ファンも多い。グローバルバンドとして、国際感覚に著しく欠ける今回の騒動は、特に憂慮すべきです」(サウンドクリエイター)
他方で、楽曲プロモーションやMVにおける企画・演出の全てがメンバーの発案であることは考えにくい。これほどまでに批判が殺到した発想はどこから来たのだろうか。
「陰謀論ではなくプレスリリースによる公式発表なのですが、今回のコカ・コーラのキャンペーンは、国内最大の広告代理店と、世界最大の広告代理店の日本支部が企画制作を務めています」(広告ジャーナリスト)
一部では、またぞろ「ポリコレ警察」「キャンセルカルチャー」と擁護も目立つが、この件はどのように着地するのだろうかと週刊実話WEBが報じた。
編集者:いまトピ編集部