『ドラマ』第4話「今後の展開に期待」
パリ五輪を挟んで2週間ぶりの放送となった『南くんが恋人!?』(テレビ朝日系)も第4話。前回のレビューでは、岡田惠和大先生が青春のすべてをかけて書いたであろう1994年の『南くんの恋人』(同)を30年ぶりにセルフリメイクしているわけだから、おもしろくて当然だろうといったことを書きました。けっこう気に入っているので、1週飛ばしたのがちょっと待ち遠しくもありましたね。
でもまあ五輪だからしょうがないと思っていたんですが、先週のテレ朝は五輪を放送したわけではありませんでした。『南くんが恋人!?』を潰して放送されたのは『世界アニマル&キッズ動画スペシャル』。いったいなぜ……?
今回のサブタイトルは「15センチ彼とお風呂!」。「お風呂!」というところに絶妙なハシャギっぷりが見えてほほえましいですね。うれしいものですよ、女子高生と「お風呂!」ですからね。
今回は「お風呂!」がメインエピソードになるのかと思いきや、「お風呂!」は早々に処理されました。真っ白な入浴剤の入ったお風呂に首までつかったちよみを見ながら、コップ風呂の南くんが「なんで入浴剤入れちゃうかなー」「そりゃ見たいだろ、健康な男子なんだから」とか言ってて、これまたほほえましい。そもそも2人で初のお城(ラブホ)に行くはずの日に南くんがちっちゃくなっちゃったわけですから、一緒に「お風呂!」もお預けでしたからね。
今回、南くんがちっちゃくなっちゃった原因について言及された場面がありました。まだ南くんが大きかったころ、地元のバスケスターゆえにデート中にもファンが寄ってきてしまう南くんに嫉妬したちよみは「南くんがちっちゃくなって、ポケットに入っちゃえばいい」と思ったことがありました。そして、それを南くんにそのまま伝えていました。
一方の南くんも、ちっちゃくなる直前にバス停でトラックにひかれそうになり、「ちっちゃくなれば助かる、ちよみに会いたい」と思ったといいます。
南くんとちよみの思いが重なって、奇跡が起こった。そういう、個人の意識に帰属するゆるいファンタジーとしての縮小化が起こったものだと思わせていたのです。
だけど、ちよみが知らないちっちゃい人が登場してしまうと、そうはいかなくなる。現象として、そういうことが「ありうる」となってしまうわけです。しかも国仲涼子は、ちっちゃい南くんを見つけて「ねえ、君」と微笑みながら話しかけている。ちっちゃい人は別に珍しいわけじゃない、人間界とは別の、ちっちゃい人の社会があることを示している。
「15センチ彼とお風呂!」なんてゆるいサブタイトルで油断させておいて、最後の最後でSFとしてのレイヤーを切り替えてくるという、この剛腕。今回わかったのは、このドラマは油断させて驚かせるということをやってくるドラマだということです。だとすれば、チープな画面も安っぽいCGも、平成レトロな雰囲気も、すべて油断を誘っているのかもしれない。もともと好きな作品ではありましたが、今後の展開にがぜん興味がわいてまいりました。と日刊サイゾーは報じた。
編集者:いまトピ編集部