2024/8/21 14:51

【発表】出荷停止『江崎グリコ』人気商品、順次出荷再開も「前年同期比53%減」

頭を抱える

4月に発生したシステム障害が原因で、ほぼすべてのチルド食品(冷蔵食品)が2カ月以上にわたり出荷停止になるという事態に見舞われた江崎グリコは今月14日、2024年1~6月期の連結決算を発表し、障害の影響で純利益が前年同期比53%減の36億円となったことがわかった。同社は会見で、全社のIT戦略・運用を統括する責任者であるCIO(最高情報責任者)職を置いていなかったことを明かし、議論を呼んでいる。また、大幅な減益となったことを受け、障害の原因となったプロジェクトの主幹ベンダである外資系コンサルティング会社・デロイト トーマツ コンサルティングの責任を問う声も広まっている。

グリコは業務システムについて、独SAPのクラウド型ERP「SAP S/4HANA」を使って構築した新システムへ切り替えるプロジェクトを推進してきた。これまで生産・営業・会計など部門ごとで分かれていた古いシステムを統合型システムに置き換えるという大がかりかつ難易度が高い作業だが、旧システムからの切替を行っていた4月3日、障害が発生し、一部業務が停止。
その後、一部商品の出荷が停止となり再開されたが、「プッチンプリン」「カフェオーレ」「アーモンド効果」をはじめとする大半のチルド食品は再び出荷停止に。
さらにキリンビバレッジから販売を受託している果汁飲料「トロピカーナ」や野菜飲料の出荷も停止するなど、影響は他社にも拡大した。

その後、順次出荷を再開し、今月13日には人気商品「プッチンプリン」を順次出荷再開すると発表。徐々に正常化に向かいつつあるが、小売チェーン関係者はいう。

「一部のスーパーではプッチンプリンが陳列されていたスペースに他メーカーのプリン商品が陳列されており、棚が侵食されてしまった。これまでプッチンプリンを買っていた客が出荷停止を機に別のプリンを食べて、『こっちのほうが美味しい』と評価してそちらに流れてしまえば、グリコに長期的に及ぼされる影響は小さくはない」

今回の障害が同社の業績に与えた影響は大きい。国内チルド食品以外の事業が好調だったため、1~6月期の売上高は前年同期とほぼ同じ1540億円、営業利益は前年同期比10%増の88億円を確保したものの、障害は売上高ベースで150億円、営業利益ベースで36億円の押し下げ要因となった。また、特別損失として56億円を計上し、純利益は同53%減と半減し36億円となった。

損失はこれだけにとどまらない。4月22日付「日経クロステック」記事によれば、プロジェクトの当初の完了予定は22年12月であったが延期され1年以上の遅れとなり、投資額は当初の予定金額の1.6倍にも膨れ上がっているというとBusiness Journalは報じている。

システム障害のグリコ、CIOが不存在だった…純利益半減でデロイトの責任問題 | ビジネスジャーナルシステム障害のグリコ、CIOが不存在だった…純利益半減でデロイトの責任問題 | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部