業務スーパーの「安い米」正体発覚

6月末の時点で、統計を取り始めた1999年以降で最も主食用の米の民間在庫量が少なくなったと農林水産省が発表するなど、米不足が進みつつある現在、外国産の米が多く流通しつつあります。その中でも代表的なブランドである米国・カリフォルニア産の「カルローズ」を購入し、その味や、日本米との違いを確かめてみました。
日本人の主食として欠かすことのできない米。そんな米の品薄や値上げが続いていることが、5月頃から盛んに報道されるようになりました。昨年の猛暑の影響で不作になったことや、インバウンドが好調であったことで外食産業での需要が増加したこと、パンや麺類など、小麦が使われた製品に比べると、値上げ幅が小さい米を消費者が好んだことなどが、その理由として挙げられています。
それを裏付けるように、7月30日に行われた農林水産省の審議会では、6月末時点で民間における米の在庫は156万トンと、前年度より20%減となる41万トンの減少となっていることが明かされました。これは記録を取り始めた1999年以降、最も少ない量であるそうです。
8月に入ってからは今年に生産された(令和6年産)新米が流通し始めたものの、品薄である状況に変化はなく、スーパーの棚がすっからかんの光景も伝えられています。
こうした米不足の対策として、農林水産省は先立つこと5月30日、今年生産される米について増産することを決定。今後は値下がりが起こるとの見方もありますが、現時点では主食となる米の価格に苦慮する消費者や飲食店も多くなっています。
そんな中、注目されているのが外国産の米。1993年に冷夏の影響で米不足に陥ったいわゆる“平成の米騒動”では、タイ政府から輸入したインディカ米、いわゆる“タイ米”が出回ったものの、味や食感などが国産のジャポニカ米とかなり違うことから不評を買うことに。しかし現在では、より国産米に近い食感のものが流通しています。
その代表的なものの一つが、米国のカリフォルニア州で主に生産されている「カルローズ」です。「コシヒカリ」や「あきたこまち」をはじめとした国産米は、短粒種と呼ばれる粒が小さく短いタイプとなっていますが、「カルローズ」はこれよりも一回り大きい中粒種と呼ばれるタイプのジャポニカ米。
その食味の良さから、この「カルローズ」をブレンドした商品を販売し、価格高騰に対抗している卸売業者や、国内の飲食店でも実際に提供する店が出てきたとの報道を見た筆者は、その味を確かめるべく、購入して実食してみました。
この「カルローズ」を手に入れるため、スーパーやドラッグストアを巡ってみましたが、筆者が住んでいる地域では唯一「業務スーパー」だけに取り扱いがありました。
購入後、袋を開封して生米の状態で皿に盛って観察してみると、月並みながら「至って普通のお米だな」という感想を抱きました。比較するため、筆者の家で購入している「あきたこまち」を同じく生米の状態で並べてみると、確かに米の粒が少し大きいような印象。また、「あきたこまち」が生米の状態では少し黄色がかっているのに対して、「カルローズ」はそれよりも白に近い色味でした。
まず何もつけずに食べてみると、「カルローズ」はお米特有の甘さや香りなどの風味が薄めで、粒は立っているもののモチモチ感も同じく希薄。また、一般的なものよりも粒同士の粘着が弱く、口に含んで上顎で潰すだけでサラッと塊がほぐれていくような感じがありました。
一方、「あきたこまち」はまさに食べ慣れた味で、お米の風味やモチモチとした食感などが、多くの人が想像する通りのお米の味わいです。
とはいえ、こうやって食べ比べをすれば違いはわかるものの、そうでなければまったく違和感なく食べられるクオリティが「カルローズ」にはあるように思えました。
以上、「カルローズ」の味を「あきたこまち」と比較してみました。シンプルに米本来の味わいを追求するような食べ方では、筆者の舌では「あきたこまち」のほうがおいしく思えましたが、しっかりと味のついたおかずと食べるなどのシーンでは、ほぼ変わらないおいしさが味わえるのではないか、というのが率直な感想です。
また、ホロホロとした粒離れの良さを活かすような食べ方(パッケージのオススメ料理で言えばチャーハンなど)であれば、国産米に勝るとも劣らないポテンシャルを発揮できるようにも思えました。
リーズナブルにお米を味わいたいという方にとっては、十分選択肢の一つに入るクオリティがあると思いますので、ぜひ一度「カルローズ」を試してみてくださいとサイゾーウーマンは報じている。
編集者:いまトピ編集部