『すき家』使い捨て容器による提供が開始
大手牛丼チェーン「すき家」の一部店舗で、店内飲食でも、一般的な陶磁器やPET樹脂、ガラスなどの食器ではなく、プラスチック製の使い捨て容器による提供が始まっている。安さがウリのファストフードチェーンであっても、ハンバーガーチェーンなどを除くと使い捨てではない食器による提供が多いが、背景には何があるのか。また、使い捨て容器による提供にすると飲食店側にはどのようなメリット、デメリットが生じるのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
店舗数ベースでは牛丼業界で圧倒的1位となっている「すき家」(1954店舗/7月現在)は、セルフ式店舗を増やしつつある。店内に設置されたタッチパネル式券売機で注文と精算を行い、発券された紙に印字された番号が呼び出されたら客がカウンターへ料理を取りに行き、食べ終わると客が食器を下げるという形態だ。店内飲食でも使い捨て容器による提供が行われているのは、このセルフ式店舗だ。
「セルフ式店舗を導入する目的は、配置する店員の数を通常の店舗より減らすことによるコスト削減なので、その削減効果を最大限にしようとすれば、食器を洗う業務をなくすために使い捨て容器を導入しようとなる。『すき家』の顧客のニーズは、とにかく安くボリュームのある料理を短い時間で食べることなので、食器が使い捨てのものになったからといって、それを嫌がって店舗の利用を控えるとは考えにくく、客数に影響はないだろう」(外食チェーン関係者)
そもそも、飲食店において皿洗いの業務というのは、どれくらい負担の重いものなのか。
「飲食店にとっては結構負担が重い業務です。小さいお店で食器洗浄機を導入していないお店や、高級店でお皿が高価なために手洗いを優先しているお店で、暇なお店ではないなら、洗い場担当が必要になります。食洗機を導入していても、常に満席になるお店や回転率を重視するお店では、洗い場担当を置かなくてはオペレーションに無理が生じてきます。客席から下げられてきた食器には食材や油がこびりついており、食洗器に入れる前に大きな業務用シンクに水を溜めて漬けておかないと、食洗機の洗いだけでは汚れが残ってしまうことがあります。
そして食洗機を使っても、洗浄後に食器を取り出して乾かし、拭いてから収納棚に戻すという作業を繰り返す必要があります。強化ガラス製のグラスを食洗機で洗う場合も、お客が口をつける部分に注意を払う必要があります。グラスに口紅や油分が残っていると、お客に不快感を与えてしまいます。たとえ食洗機を導入しても、繁盛店なら1人員分まではいかなくても、それなりの負担になるのです」とビジネスジャーナルは報じた。
編集者:いまトピ編集部