2024/9/30 15:14

中野サンプラザ廃墟化か…工事中止「事業自体を根本から見直さなければ」

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東京・中野区のシンボルだった「中野サンプラザ」の跡地に建設予定の超高層ビルについて、工事費が900億円以上増加する見込みで、今年度中に着工して2029年度中に完成としていたが、いずれも困難になっていると報じられている。

だが、専門家によると、決して法外な金額ではなく、むしろ相場に照らして妥当な見積もりだという。

 中野サンプラザは昨年7月に閉館し、跡地には住宅やオフィス、展望施設などが入る高さ262メートルの超高層ビルと、収容人員最大7000人の多目的ホールやホテルが併設される「NAKANOサンプラザシティ(仮称)」が建つ計画。地上61階、高さ約250メートルの複合施設で、区は当初、この再開発の事業費を1810億円と見込んでいたが、今年1月の時点で2639億円へと見直されていた。

 それがさらに今月に入り、代表事業者である野村不動産から人件費や原料費の高騰を理由として、「工事費が900億円以上増える」と伝えられたという。工事を請け負う清水建設が野村不動産に増額した見積もりを出し、野村不動産から区へその旨を連絡しつつ、今年度中の着工についても困難との見方を示した。着工も完成も見通しが立たなくなり、事業自体を根本から見直さなければならなくなる可能性もある。

「事業者が野村不動産、東急不動産、住友商事、JR東日本、ヒューリックでしたが、今年4月にヒューリックは撤退しています。オフィス、マンション、ホテル、商業施設等が入る61階建てビルですが、(現行の中野サンプラザからの)容積率の割り増しで得た床を、事業者側が保留地として買い取る事業の仕組みかと思われます。このとき、工事費が上がると売却価格も上がるので、引き受ける予定のデベロッパー各社にしてみると厳しいのではないでしょうか。マンションを分譲する場合でも、オフィスを賃貸に出す場合でも、相場を大きく上回らなければならず、見込んでいた利回りを得られなくなります」(同)

――事業計画が進められないとなると、解体することもできず、現状のまま放置されることになるのでしょうか。

「その可能性が高いですね。これは中野に限った話ではなく、都内をはじめ全国各地で大型プロジェクトが止まるという現象が起きています。オフィスの賃料やマンションの販売価格が上がってくれば釣り合いは取れるのかもしれませんが、今のところは建築費だけが先行して上がっている状況で、事業の採算が合わないのです」(同)

――現在の計画では着工や完成の見込みが立たないということは、どこかしらの費用を削る必要に迫られるのは避けられないですね。

「規模を縮小するか、収益性の低い施設をやめるなど、大幅な見直しをしなければ建て替えは難しいですね。収益性が低いのは公共施設やホールということになるわけですが、区の権利があるので、これらをなくすことはできないでしょう。したがって、周辺の住宅価格やオフィス賃料などが大きく上がってこなければ、現状では事業の採算が合わないので、事業者としても動きたくないはずで、当面、計画を進めるのは難しいと考えられます」(同)

 建築費が高騰しているのは全国どこでも同様だが、大規模な事業では上振れる金額が膨大になる。中野区のシンボルだった中野サンプラザが、解体もできずに廃墟のようにたたずむ状況は、長引かせてほしくないものであると、ビジネスジャーナルは報じた。

中野サンプラザ工事中止で廃墟化?工事費900億円上振れ、野村不動産が通告 | ビジネスジャーナル中野サンプラザ工事中止で廃墟化?工事費900億円上振れ、野村不動産が通告 | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部