『月9』第1話「力の入った作品」楽しみなドラマ
今期の月9『嘘解きレトリック』(フジテレビ系)は、100%ウソが聞き分けられる女の子のお話だそうです。その女の子が探偵とコンビを組んで事件を解決していくミステリー。どんな感じになってるんでしょうか。振り返りましょう。
コミック原作の実写ドラマ化というと、どうしても「ううっ」と頭を抱えたくなってしまう昨今のドラマ業界ですが、『嘘解きレトリック』の第1話はきっかりコミックの第1話を踏襲しています。むしろ、コミックの描く昭和初期の世界観を、テレビ画面の中でより華やかに立ち上げていると言っていいでしょう。エピソードもつまむところはつまみ、膨らませるところは的確に膨らませて、より豊かな作品に仕上がっているように見えました。
そもそも原作がセンスいいんですよね。鹿乃子がウソを聞き分けることについての演出ですが、最初、原作では吹き出しに変なトーンをかけていて、ドラマでは音声と話者の顔面が少しひずむというエフェクトをかけているんですが、それを鹿乃子のセリフとして「(人のウソは)固くこだまして耳を打ちます」と説明させているんです。これ、ドラマでもそのままセリフとして使われているんですが、こうして言語化されることでウソを聞き分けるときの鹿乃子の感触を明確にイメージできるようになる。「固くこだまして耳を打つ」って、すごいセリフだと思います。
演出には西谷弘、永山耕三、鈴木雅之と「さん」を付けるのもはばかられるようなビッグネームが名を連ねています。まさに、フジテレビのドラマ史そのものといえる3人の演出家が、よってたかっておもしろい原作を忠実かつ華美に昇華させようとしている。衣装もセットもずいぶんお金がかかっているようですし、やけに力の入った作品だな、というのが第1話の印象でした。
あとは「ウソを見抜ける能力」と「ミステリー」というジャンルのアンバランスの中で、どれだけ事件のバリエーションが出せるかというところだけなんですが、そう考えるとむちゃくちゃ挑戦的な作品でもありますよね。楽しみです。と日刊サイゾーは報じた。
編集者:いまトピ編集部