原作の大幅改変...実写化『映画』累計発行部数は100万部「自分が原作者だったら映画化を許可しないレベル」
日本テレビ系ドラマ『セクシー田中さん』の騒動で、実写化作品における原作の改変が物議を醸したのは記憶に新しいところだが、映画サイトで原作ファンから不満が噴出しているのが9月27日から公開されている映画『傲慢と善良』だ。
人気グループKis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔と俳優・奈緒がW主演を務める同映画は、辻村深月氏の同名ベストセラー小説(朝日文庫)が原作だ。
仕事も恋愛も順調だった西澤架(藤ヶ谷)は長年付き合っていた彼女にフラれたことからマッチングアプリで婚活をはじめ、そこで坂庭真実(奈緒)と出会う。真美に惹かれて付き合い、ついに架は結婚を決意するも婚約した途端に真実が失踪し、懸命に探す中やがて彼女が隠していた過去と嘘を知ることになる……といったストーリーである。
原作の累計発行部数は100万部を超えており、主演キャストもともに人気俳優ということで、公開前から話題を呼んでいた同作品だが、思わぬ苦戦を強いられているようだ。
映画ライターは明かす。
「監督は『ブルーピリオド』(2024年)の萩原健太郎氏、脚本はドラマ『最愛』(TBS系)の清水友佳子氏というまさに“旬”のタッグ。辻村作品の映画化は2012年公開の『ツナグ』が約16億円、22年公開の『かがみの孤城』が約11億円の興行収入を記録しています。今回の原作はミリオンセラーで、上映館数も240館を超えているだけにスマッシュヒットが期待されていました。
しかし、9月30日に発表された映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)では、初登場6位と出足は鈍く、10月7日発表のランキングでは2週目にして圏外に転落しており『現状の勢いだと最終興行成績は4億円くらいにとどまるのではないか』と見られている」
低調な出足となった原因のひとつに原作の大幅改変が挙げられる。各映画サイトのレビュー欄を見ると「自分が原作者だったら映画化を許可しないレベル」などといった辛辣な意見も目立つ。
「500ページを超える長編小説なので、原作通りに再現するには限界があるでしょう。ただ、設定、ストーリー、シチュエーション、登場人物、エンディングへの布石を含め、まったく別物の作品になっており、原作を期待していた人たちにはオープニングから疑問符がついていたのではないでしょうか」(前出の映画ライター)
さりとて辻村氏は、9月11日に行われたジャパンプレミアで「私も、原作のファンの方々もこれが見たかったと思う『傲慢と善良』になっている」と大絶賛しており、映画の出来栄えには大満足のようだ。その一方で、原作改変による“不完全燃焼感”の一因は藤ヶ谷にあるのでは……との見方もあるという。
「藤ヶ谷は辻村作品の大ファンであることを公言しており、今回の映画の原作小説についても刊行時に読んで『心に刺さった』とほれ込み、2回も読み返したそう。特別な思い入れがあったことで、映画版では『原作のかおりを残したいし、映画ならではの良さも入れなくてはいけないと思った』や『話し合いながら、みんなで作っていった。それが良い思い出として残っている』と自身が思ったことを監督やスタッフにかなり主張したようです。辻村氏が現場を見学に来た際には、『“私の原作とあまりにも違いすぎます”って言われたらどうしよう』と心配したそうですから、かなり自分の意見を提案したと思われます」(芸能記者)
一部からは不満の声が挙がっているが、 芸能ジャーナリストの竹下光氏はこう語る。
「ドラマや映画の出来不出来に関して主演キャストが矢面に立たされるのはよくあることですが、原作を愛して思い入れや愛情をもって取り組んだ作品であればなおさら不憫ですよね。実際のところ藤ヶ谷さんが作品のシナリオや演出にどこまで関わったのかはわかりませんが周囲もそれを認めたわけですし。完成した映像化作品を原作者の辻村さんも絶賛しているわけですから“改悪”とは言えないのではないでしょうか。実際、映画サイトのレビュー欄では今回の映画を評価する意見も見受けられますし、興行成績に関しても今後の巻き返しに期待したいところです」
藤ヶ谷の原作小説に対する愛は原作者だけでなく、映画ファンにも届くのか――と日刊サイゾーは報じている。
編集者:いまトピ編集部