『ドラマ』原作とは違う改変が...「魅力を増幅させる」
Amazonススキ茶というのがあるんだそうですね。ススキの穂や茎を鍋で炒ってお湯を注ぐと、まるで玄米茶のような香ばしいお茶になるんだそうです。
今回、このススキ茶が登場したドラマ『嘘解きレトリック』(フジテレビ系)。第3話にあたる原作コミックにはススキがいい感じの場面で登場しますが、ススキ茶は登場しません。
ドラマの前半にススキ茶を登場させることで、もともといい感じの場面だった後半のススキが登場するシーンが、よりいい感じになっています。よい原作改変というのは、こういうことを指すんだと思うんですよ。原作にあるエピソードの魅力を、より増幅させるために手を加えている。ススキ茶の話だけじゃなく、『嘘解きレトリック』ではおおむね、そういう作業が成功しているように思えます。
ドラマ『嘘解きレトリック』が原作コミックともっとも大きく違う要素は、当たり前なんだけど、人間が演じて、カメラで撮影しているということなんですよね。コミックではわりとコメディとシリアスを行ったり来たりしながら、キャラクターの頭身や表情のタッチを描き分けることでテンポを出しつつお話を進めているわけですが、人間が演じているドラマでは、松本穂香がいきなり3頭身になったり、目と鼻が消えてメガネと口だけになったりすることはできないわけです。
その代わりドラマでは何ができるかというと、作者の違う人物を登場させることができるんですよね。コミックでは、同一の作者による人物はどうしても同じ世界観に見えてしまいますが、ドラマでは違う作者、この場合の作者というのは親御さんという意味ですけれども、鈴鹿央士や味方良介といった劇画的な美顔と、大倉孝二や今野浩喜といった写実的な庶民顔を同居させることで、主人公周りのキャラクターを浮き立たせることができる。
実写ドラマの中で左右馬というキャラクターが浮世離れしたヒーローとして映るのは、そういう顔面のタッチのギャップが作用しているわけです。
総じて、冴えた原作を冴えた人たちが実写化してるなと感じます。次回はいよいよ人が死ぬようです。人死にはミステリーの華ですからね。楽しみです。と日刊サイゾーは報じた。
編集者:いまトピ編集部