寝ても疲れが取れない「睡眠負債」解消の3つの心掛け
秋になり日照時間が短く、夜が長くなったことを「秋の夜長」と呼ぶが、これは「秋分の日」頃から「立冬」(11月7日ごろ)までの時期を指すと言われる。そんな過ごしやすい時期だからこそ、しっかり睡眠をとって日頃の「睡眠負債」解消に努めたいものだ。
睡眠負債とは、睡眠不足が借金のように少しずつ蓄積、慢性化して、やがて糖尿病や高血圧、心筋梗塞などの冠動脈疾患に引き起こしたり、あるいはうつをはじめ精神的な疾患を誘発するとされる。
医学的には7~9時間が適切で、6時間睡眠の状態が2週間続くと、徹夜明け直後レベルのパフォーマンスにまで低下するとされる。近年の調査によれば、睡眠負債が続くと、脳内の海馬や海馬傍回、視床に脳内のゴミ「アミロイドβ」が蓄積し、アルツハイマー認知症のリスクを高めることが明らかになっている。
では、自分が「睡眠負債」に陥っているかどうか、何を基準に判断すればいいのか。それが「どのくらいの時間寝たか」より「どれだけ心身の休養が取れたか」という“睡眠の質”だ。加えて、日中の眠気の度合いと、睡眠不足により体にどの程度不調が現れているかどうかで判断できるとされる。たとえば、きちんと7時間寝ていると思っているのに「疲れが取れない」「日中に強い眠気を感じる」「体がだるい・やる気がでない」「イライラしやすい」などの状態や症状が続く場合は「睡眠負債」である可能性が高いと言われる。
平日の睡眠不足を取り返すために、休日にまとめて「寝だめ」をするという人がいるが、残念ながらこの方法、あまり意味がない。というのも、寝不足解消は2~3時間が限度で、それ以上「寝だめ」してもほとんど効果がないとされているからだ。
睡眠と「自律神経」は密接な関係にあり、我々の体は緊張しているときには交感神経が、リラックスしているときには副交感神経が活発になる。自律神経は体内の状態を適切に保ち続ける神経で、それにより血圧や脈拍、体温、消化など身体の中のさまざまな機能が調節されている。そして、自律神経を正常に保っているのが体内時計だ。
通常、人間の体内時計周期は24時間より少し長い。そのため、放っておくと眠りにつく時間が少しずつ遅れてしまうが、朝に光を浴びることで体内時計がリセットされ、その誤差を戻してくれる。これは、光を浴びることで「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニンの分泌を抑制し、再び15~16時間後に眠気が生じるよう導いてくれるからだ。きちんとした睡眠をとりたい場合は、まずは朝、適度な太陽の光を浴びること。そうすることで夜になると自然と眠気が出現し、そのまま眠れる状態を作ってくれる。
さらに、就寝前の入浴も体を休息モードに切り替えるための重要な枠割を担っている。ただ、熱めの風呂は交感神経を優位にするため、38度程度のぬるめのお湯に25~30分程度の入浴が最適。そして、就寝前には、パソコンやスマートフォンなどのディスプレーやLED照明にも多く含まれている「可視光線」、つまりブルーライトを浴びないこと。実はこれが一番重要で、寝る前や夜間にブルーライトを浴びると交感神経が優位になり、せっかく体内時計をリセットしようとしているのに歯止めがかかってしまう。スマホやパソコンの使用は入浴前までと決め、出来れば手が届くところには置かないことだ。
むろん、細かく言えばまだまだ注意点はあるが、とりあえずは、きちんと朝日を浴び、ぬるめの風呂に浸かり、寝る前はスマホを近くに置かない、この3つを意識するだけで、睡眠の質は格段によくなるはずだ。秋の夜長、ちょっとした意識改革で「睡眠負債」を解消してみようではないか!とアサ芸ビズは報じた。
編集者:いまトピ編集部