2024/11/4 18:43

すき家、一時営業休止「店内に従業員いるのに」重大な状況に陥っていた

すき家

早朝に牛丼チェーン「すき家」の24時間営業の店舗に行ったところ、店内に従業員がいるのに店が閉まっており、店舗外に貼り紙などもなかったため数時間後に本部に問い合わせたところ、勤務予定だった従業員が急に病欠となり、ワンオペ勤務となることを避けるために一時営業休止にしていたという回答が寄せられた――。少し前にあるサイト上に投稿されたこんなエピソードをめぐり、「貼り紙くらい貼って事情を説明すべき」といった声があがる一方、ワンオペ禁止の徹底ぶりに驚きの声も広まっている。かつて社会的に大きく問題視された「すき家」のワンオペ勤務は今、どうなっているのか。運営会社のゼンショーホールディングス(HD)に聞いた。

 すき家といえば過去、ワンオペ勤務が社会的に大きな問題となった。2014年に深夜のワンオペ勤務をはじめとする従業員の過酷な労働実態が発覚。全国で一時閉店する店舗が相次ぎ、約2000店舗(当時)のうち最大で123店舗が店を開けられない状態に。さらに深夜のワンオペを廃止した影響で、全店の約9割を占めていた24時間営業店のうち、実に約7割の店舗が24時間営業の休止に追い込まれた。

すき家の労働環境改善に関する第三者委員会が公表した報告書によれば、ゼンショーHDは12年度以降、時間外労働などで64通にも上る是正勧告書を労働基準監督署から受け取っており、恒常的に月500時間以上働いていた社員や、2週間帰宅できなかった社員がいたことなども明らかになった。

「すき家の運営は法令違反であることはもとより社員の生命、身体、精神に危険を及ぼす重大な状況に陥っていた」

「過剰労働問題等に対する“麻痺”が社内で蔓延し、『業界・社内の常識』が『社会の非常識』であることについての認識が全く欠如していた」(共に第三者委の報告書より)

 一連の問題を受けて「すき家」は14年、深夜のワンオペ廃止を宣言。複数勤務体制を確立したとみられていたが、22年にワンオペ勤務中の女性店員が店内で死亡するという事件が発生。すき家は、朝帯(5~9時)には一部店舗でワンオペ勤務を行っていると説明。不測の事態が起きた場合に備えて「ワイヤレス非常ボタン」を常時装着し、本部とすぐに連絡を取れるように指導しており、防犯カメラを設置しているとした。

「意識を失った従業員や強盗に襲われた従業員はワイヤレス非常ボタンを押すことはできませんし、防犯カメラを設置していても本部が常に数多くの店舗を監視することは不可能なので、ワンオペ勤務中の従業員が危険な状態になった際の対策として有効とはなり得ません。とりあえず“対策をやってます感”を出すためだけという印象をぬぐえません」(外食チェーン関係者)

そんな「すき家」の従業員の勤務体制をめぐる体験談が今、一部で話題となっている。冒頭の投稿によれば、ある日の朝5時台に24時間営業の店舗に行ったところ、店内には2人の従業員の姿が見えたものの店は閉まっており、本部に問い合わせたところ前述のような事情で一時休業となり、5時に勤務が終了した従業員が店内に少し残っていたという。現在、すき家ではワンオペ勤務はまだ続いているのか。ゼンショーHDに聞いた。

「すき家では深夜0時から翌9時までは複数勤務体制を確立しています。上記時間帯において、欠勤などのやむを得ない事情により複数勤務体制がとれない場合は一時閉店としています。それ以外の時間帯(お昼や夜のピーク時間帯などの繁忙時間は除く)においては、入客数の予測に基づき1人勤務体制での営業を行う場合もございます」

 外食チェーン関係者はいう。

「とにかく今は外食業界も人手不足が深刻なので、深夜から早朝の時間帯に毎日2人の店員を確保するというのはかなり大変です。ごく一部のエリアの店舗を除けば、深夜にものすごく多くのお客さんが来るという状況は考えにくく、2人体制で店を運営するというのは、その時間帯だけで見れば採算は合わないと考えられます。将来的には24時間営業の廃止という動きが出てくる可能性もあるでしょうし、防犯という面でもそのほうが望ましいといえるかもしれません。一方で、深夜や早朝に働く人も一定数おり、資金力のある大手チェーンがそういった人々に食事をとれる場を提供するというのも社会的に意義のあることなので、難しい問題です」
と、ビジネスジャーナルは報じた。

すき家、なぜ店内に従業員いるのに営業休止…ワンオペ禁止の徹底ぶりが話題 | ビジネスジャーナルすき家、なぜ店内に従業員いるのに営業休止…ワンオペ禁止の徹底ぶりが話題 | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部