『倒産』過去最多更新か「負債額トップ」は約60億3830万円...「競争が激化」新規参入は519社
もはや子どもに関わる産業に未来はないのだろうか。
少子化が加速する中、学習塾業界が過去最多水準の倒産に見舞われている。11月10日、大手調査会社の帝国データバンクが、今年1~10月の学習塾倒産件数を発表した。データによると、その件数は32件で、前年同期(25件)比で28%増加した。
具体的な企業名も公表しており、負債額トップは福岡を中心に最盛期で500校を展開していた、個別指導塾スタンダードの約60億3830万円。
これは、2000年以降で2番目の負債規模だとか。
次いで、東京の教育春秋社が負債額約10億円。倒産件数の都道府県別では東京が7件でトップに。大阪6件、神奈川4件と続き、大都市圏の学習塾ほど苦境に陥っている様子がうかがえる。
2000年以降で学習塾倒産件数が最も多いのは2019年の39件だが、今年はこれに匹敵する見通しだという。
別の調査会社である東京商工リサーチの調べでは、昨年の学習塾の倒産件数は45件で、過去20年間で最多。今年上半期は26件で、00年以降の上半期で最多というデータが出ている。
もはや、学習塾という産業自体に不況の波が押し寄せているといえる。
子どもを対象とした産業が苦戦するという、少子化の加速をより印象づけるようなこのニュースに、SNSでは
《個人経営の学習塾なんか無料の動画でいいってなるよな》
《そら市場が物凄い勢いで縮小してんだから当たり前だろ》
《子どもの数に対して多すぎ あと講師の質も大手に吸われて勝てない 悪循環で勝手に潰れてく》
など、さまざまな意見が向けられた。
調査結果でも、倒産件数増加の要因として、主な学習塾利用層である6~18歳の人口の減少が挙げられている。
しかし、前出の東京商工リサーチの調べによれば、学習塾の売上高は2004年の3078億円から昨年で5540億に、受講者数も944万人から1409万人に大幅に増加。
昨年の学習塾休廃業・解散が113社だったのに対し、新規参入した法人は519社と、ニーズはむしろ高まっているようだ。
業界不況ならば全体の市場規模も縮小しそうなものだが、なぜなのか。
「少ない顧客の奪い合いによる競争が激化しているということです。塾は動画やオンラインなどのデジタル化もあって、昔ほど広い教室を構えなくてもよくなっている。参入障壁が低いために新規法人が増えているわけですが、業者が増えれば淘汰されていくのは当然でしょう」(教育プランナー)
どうやら、現在の学習塾業界は「多くの事業者が少ない子どもを取り合う」という過当競争にさらされているようだ。
「少子化で子どもの数は過去最小を更新し続けていますが、その分、親は1人に対しての投資を厭わない。塾側からすれば、地域でちゃんとした評価さえ確立できれば、高い学費でも利用者が殺到するビジネスチャンスなわけです。少子化なのに売上高が伸びているのは、まさに1人あたりにつぎ込む教育費が増えている証左。評判のいいところや人材・機材の豊富な大手にどんどん生徒をとられていき、中小零細の塾はどんどんと閉鎖される時代というわけです」(同)
熾烈な受験戦争を勝ち抜くべくガンバっているのは、子どもたちだけではないようだと週刊実話WEBは報じている。
編集者:いまトピ編集部