日プ出身グループ、活動休止を発表
JO1、INI、BE:FIRSTなど、オーディション番組で結成されたダンス&ボーカルグループが活躍する現在の音楽シーンだが、その一方で活動休止を決断するグループもいる。
オーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』の練習生で結成された7人組ボーイズグループMaison Bが11月30日をもって活動休止すると発表した。メンバー間での話し合いの結果、「グループの新たな成長を目指し、今ここで一度活動を休止し、それぞれがアーティストとしての可能性を広げていきたい」との結論に至ったという。今後はメンバーそれぞれがソロで活動していく予定だという。
2021年に放送された『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』では、最終合格者によってINIが結成されたほか、落選した練習生たちによってDXTEEN、OCTPATH、Maison Bなどのグループが結成され、活動をしている。今回活動休止を発表したMaison Bは、同オーディションでラップトレーナーを務めたKEN THE 390がプロデュースを担当し、2022年8年に結成された。
「現在はオーディション出身のボーイズグループが乱立している状態。PRODUCE 101 JAPAN SEASON1の合格者によるJO1、同SEASON2合格者によるINIなどは、メディア露出も多く、アリーナクラスのコンサートも成功させていますが、落選者で結成されたグループはそこまで大活躍できていないのも事実です」(音楽事務所関係者)
さらに、昨年4月から今年3月まで日本テレビで放送されたオーディション番組『OUT OF 48』で結成されたガールズグループUNLAMEは、来年1月をもって活動を休止すると発表した。同オーディションはAKB48の現役メンバーおよび研究生と一般応募者が同じ条件で選考されるもので、AKB48の現役メンバー5人と一般応募者2人が合格。しかし、すでに2人が卒業しており、実質的な活動期間は1年半に満たないものとなった。
「オーディション番組自体もかなり多く、供給過多気味なのは否めません。PRODUCE 101やNizi Projectのような注目度の高い日韓合同オーディション番組ならまだしも、そうではない番組の場合、厳しい審査をパスした候補者によってグループを結成しても、簡単に結果は出ない現実があります。
さらには、NiziUのような成功しているグループでさえも、デビュー時に比べると最近はメディア露出が減っており、勢いがなくなったのではないかと言われてしまう状況です。Nizi Projectシーズン2で結成されたボーイズグループNEXZについても、シーズン1のNiziUに比べると、世間的にはそこまで盛り上がっていない。オーディション番組ブームが過渡期を迎えているようにも見えます」(同)
現在のオーディション番組を取り巻く状況について、エンタメウォッチャーの大塚ナギサ氏はこう分析する。
「たとえばNiziUはこの冬にアリーナ規模の全国ツアーを開催し、チケットも全公演ソールドアウトしています。つまり、活動自体は順調ではあるんですよね。しかし、メディア露出がデビュー時に比べて減っているのは事実なので、そこまでNiziUに興味がない人にしてみれば“勢いがなくなった”と見えてしまう。そういったギャップがあるので、結果的にブームが落ち着いたかのような印象を与えている部分はあるでしょう」
一方で、オーディション番組特有の構造が、熱しやすく冷めやすい状況を招いている可能性にも言及する。
「オーディション番組では、いくつかの課題を与え、そこに向けて努力する候補者に密着することで、視聴者がより感情移入しやすくなるという構造になっています。ただ、番組が放送される期間は多くの場合3カ月ほどであり、一気に盛り上げていく感があるんですよね。番組終了後は、メンバーたちの努力する姿を見る機会は減り、そういったなかで冷めてしまうライトなファンが一定数いるのも間違いないと思います」(大塚氏)
オーディション番組出身のグループたちは、短期間で世に出ていく形だが、STARTO ENTERTAINMENTのグループや坂道シリーズ、ハロー!プロジェクトなどでは、下積みを重ねたうえでブレイクしていくケースも多い。
「オーディション番組出身グループだと、デビュー時点でアリーナ公演を行うなど、最初から活動の規模が大きいケースも多い。そうなると、そこからのさらなるサクセスストーリーを組み立てるのが難しくなってしまうという側面もあります。
一方のSTARTO社のグループであればジュニアからの下積みがあり、5年、10年と活動を追っている熱心なファンも多く、一過性の人気にはなりにくい。坂道シリーズやハロプロについても、メンバーが入れ替わっても“箱”を長年応援し続けるファンが多くいるので、長く活動が続いている。そしてファンを一定数キープしつつ、グループの形が変わっていくので、時代ごと、メンバーごとのサクセスストーリーが自然に組み立てられていく。このような点は、オーディション番組出身グループとの大きな違いだと思います。そう考えると、オーディション番組出身グループにとって本当に重要なのは、デビュー後にいかにして成長を見せ、サクセスストーリーを発信していくかなのかもしれません」(大塚氏)
今後もまだまだ増えていきそうなオーディション番組出身グループ。過酷な審査を経てデビューの座を勝ち取ったメンバーたちを待っているのは、さらに過酷な戦いなのだ、と日刊サイゾーが報じている。
編集者:いまトピ編集部