【異例事態】『船井電機』全員解雇「全員失業、明日から給料ゼロ」一方的な宣告
先月24日に東京地裁から破産手続き開始の決定を受けた船井電機の代表取締役会長、原田義昭氏(80)は14日、毎日放送(MBS)の取材に応じ、準自己破産申し立てを事前に知らされていなかったと明かした(同日付「MBS NEWS」記事より)。同報道によれば、今回の申し立ては同社の取締役のひとりが行ったものであり、原田氏はすでに破産手続き開始決定の取り消しを求めて裁判所に即時抗告を申し立てており、事業再生は可能だとして民事再生法の適用を申請する方針だという。なぜ、代表取締役会長が関知しないなかで破産手続きが開始するという異例の事態が起きたのか。また、仮に原田氏の申し立てが認められた場合、同社が経営再建を果たす可能性はあるのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
原田氏が船井電機の会長に就任すると発表されたのは先月3日。同時に、それまで社長を務めていた秀和システム代表取締役の上田智一氏が退任し、後任に元日本政策金融公庫専務の上野善晴氏が就任すると発表された。だが、現在も船井電機の公式サイト上の役員一覧に上野氏の名前はなく、元環境相で長く政治家を務めていた原田氏が突然、会長に就任するに至った経緯もわかっていない。
「経営のプロではない原田氏が会長に就いたのは、知人を介して頼まれて名前と肩書を貸すくらいの感覚だったのではないか。ただ、それでも代表取締役会長である以上は形式上は船井電機の代表者なので、破産の後始末に責任をもって対応する義務を負っており、また債権者など多くのステークホルダーからの訴訟リスクもある。原田氏は事の重大さを認識して、破産の取りやめと再建に動き出したということではないか」(全国紙記者/11月13日付当サイト記事より)
「極論ですが、社員全員が『どうせ失業していたのだから、黒字になるまで当面給料受け取りません』と決めたら、年間の人件費25億円(上場期の最後である2020年度のデータより推定)が浮くので、事業を残せる可能性も相応に高くなります。極論ついでですが、年金資産80億円(支払いが確定している債務は57億円)があるので、残った社員が退職金や企業年金の放棄に同意すれば、外に積み立てられていた資金を事業に回したり、いったん退職金を受け取って社員が出資者となって資金投入して事業を運営するといったかたちも手段としてはあります。
そこまで社員が身を挺して再建に取り組むという事例は聞いたことがありません。少し近い例では、日本航空(JAL)が再建の過程において、退職した社員に企業年金を放棄してもらったり、社員の給料や退職金を大きくカットしたことがありますが、それは自分たちのせいで破綻したからだという責任感もあって受け入れられたのかもしれません。ただ、報道からの推測になりますが、船井電機は以前から続く事業に携わっている社員のせいで倒れたわけではないため、相当理不尽でしょう。
社員はいったんは『全員失業、明日から給料ゼロ』と一方的な宣告を突然受けた状態なので、強烈なリーダーが崖っぷちからの再起を主導していけば、いかようにでも動ける可能性はあると思います。当然、とても困難な道ではありますが、一度は世界をリードしたFUNAIという名前への愛着が社員にどれだけ残っているかにもよるでしょう」(中沢氏)と、ビジネスジャーナルが報じた。
編集者:いまトピ編集部