『ドラマ』過去との矛盾が炸裂、絶賛キャラ崩壊中... 「詰め合わせパック」状態か
『おむすび』第46回 過去との矛盾が炸裂する結ちゃん、絶賛キャラ崩壊中のナベさん
NHK朝の連続テレビ小説『おむすび』第10週は「人それぞれでよか」だそうです。
もはや言いがかりだと自分でも思うけど、なんか上から目線なんだよな、この結ちゃん(橋本環奈)っていう主人公が。「人それぞれでよか」っていうサブタイトルも、どこかジャッジメントする側というニュアンスがある。「人助けの呪い」も恩着せがましいし、調理実習の献立をサッチン(山本舞香)とカスミン(平祐奈)に作らせてきて適当にミックスしたものを提案したときも、「トラブルを丸く収めてやった」みたいな顔してたし。丸く収まってないのに。まあ、言いがかりです。第46回、振り返りましょう。
震災当日を描いた場面、今回も少し回想がありましたが、結ちゃんは状況をまるでわかっていませんでした。冷めたおむすびは「チンして」と言うし、確か「明日は保育園休みだ」って喜んでたような場面もあったし、マキちゃんが死んだことをナベさん(緒形直人)がみんなに告げたシーンでは、アユはリアクションしていたけど結ちゃんは画面に映ってすらいなかった。
「悲しいとき」のフォーカスが合ってないんです。神戸に来てからも時おりフラッシュバックしてるみたいな顔を見せる結ちゃんですが、何が悲しかったのか、いまいち伝わってこない。「おむすびが冷たかったときー!」と言っても、「マキちゃんが死んだときー!」と言っても、「全壊した家を見たときー!」と言っても、見ている側としては「そうだっけ? そんなに悲しんでたっけ?」と戸惑うしかない。ほとんど覚えてないなら、ほとんど覚えてない人として糸島編を描くべきだったのに、めちゃくちゃトラウマに囚われて震災が人格形成に大きな影響を及ぼした人物として描いてしまったから、実際に神戸に来たらあちこちに矛盾が発生している。というか、脚本のウソがバレている。
今週も残念ながら、月曜日から失敗しているなぁという感触で始まりました。金曜には丸く収まるから別にいいけどな。
震災から数日後、お腹を抱えて苦しむ女児が「便秘」だと判明した瞬間に大量のワカメを運び込んできたナベさんには、さすがに天を仰いでしまいました。どういう人なんだ、これ。
おそらくは様々な被災者から取材で聞いたエピソードをナベさんに当てはめているんでしょうけれど、もともと震災前にアーケードに反対していたあたりから度を超えた偏屈者として描かれていたので、震災で娘が亡くなってどう変わったのかがよくわからないんですよね。それでも当初は、墓参りを断ったりしてたので「悲しくてブッ壊れた人」という解釈で見てきたんですが、ワカメ持ってきたり、やっぱりアーケード作りを率先して牽引したり、まるで「被災者行動パターン詰め合わせパック」みたいな状態になってしまっている。
小説家の天童荒太が東日本大震災をテーマに『ムーンナイト・ダイバー』(文藝春秋)という作品を発表したときに話を聞いたことがあるんですが、天童さんは「小説を書くために人の話は聞かない」と言ってたんですよね。
「お話を一度二度聞いただけでその人のことをわかったと思うのは間違いだし、どれだけ深く付き合っても、本音の部分なんてなかなか話さないと思う」
「それを取材して、聞いて、語ったから、この町の人はこんなふうに思っていると書いたら、それはとんだ間違いになる」
どうやってフィクションを作るかなんて人それぞれだけど、ナベさんというキャラクターの造形を見ていると、このドラマの被災者に対する取扱いというか、スタンスの残念さがあらわになってる感じがして、ちょっとさすがに悲しくなっちゃうんだよな。
悲しいときー、ですよ、本当にと、日刊サイゾー が報じた。
編集者:いまトピ編集部