『ドラマ』終わり方の共通点「王道ハッピーエンドは減っていくのでは」
次々と最終回を迎えている今期ドラマだが、エンディングに“ある共通点”があるようだ。
例えば、12月16日に最終回を迎えた月9ドラマ『嘘解きレトリック』(フジテレビ系)。
昭和初期の九十九夜町(つくもやちょう)を舞台に、人のウソを聞き分けられる能力を持つ主人公・浦部鹿乃子(松本穂香)が、貧乏探偵の祝左右馬(鈴鹿央士)とともに難事件に挑む物語だ。
これまで2人の間には恋愛感情のようなものは描かれなかったが、最終話にして鹿乃子が「先生(左右馬)が結婚してしまったら…」と悩み、「助手として(左右馬のことが)好き」という自身の発言にウソを感じるという描写があった。
「自身の気持ちに気が付いた鹿乃子ですが、その後、左右馬に好意を伝えてどうこうするような展開はなく、ほっこりした同僚の関係のまま幕を引きました。実は今期のドラマの特徴として、主役とヒロインが“恋人関係に至らない”作品が非常に多い。ハッピーエンドとも異なる、友達以上恋人未満エンドとでも言いますか、互いの信頼感に重きを置いている感じです」(芸能ライター)
大河ドラマ『光る君へ』(NHK)では、吉高由里子演じる紫式部と柄本佑演じる藤原道長が生涯をかけて愛し合うも、夫婦はおろか妾の関係にすらならず、それでいて紫式部が道長の最期を看取るという終わり方をした。
また、『若草物語-恋する姉妹と恋せぬ私-』(TBS系)では、堀田真由演じるヒロイン・涼が「お願い、友達でいて」と、幼馴染から受けたプロポーズを断っている。
「女性視聴者の多い火曜22時枠で放送された『あのクズを殴ってやりたいんだ』(TBS系)では、奈緒と『Kis-My-Ft2』玉森裕太が恋人関係になるも、最終回でハグやキスといったラブシーンはナシ。現在のテレビドラマでは、たとえ恋愛コメディーであっても、『恋人という甘い関係がすべてではない、かといってヒロインが1人で生きていくのがカッコイイとされる時代ではない。互いが信頼し合って協力していくことが大切だ』と説き散らかしているんです」(同)
これは、形ではなく関係性を重視する令和らしい価値観だといえそうだが、実はテレビ局的にも事情があるという。
「現在、テレビドラマでは役者のコンプライアンスを守ることが急務となっています。ラブシーンなど、やりたくないことをやらされる役者を守るため、2020年頃から“インティマシー・コーディネーター(IC)”という、監督と役者の間に入る職業が定着しました。民放のドラマ、ましてやゴールデンタイムの作品となれば、制作側はあえて過激な演出で波風を立てたいとは思わない。もはや、キスシーンでさえもそういった対象に入りかねないのかもしれません」(同)
さまざまなコンプラの関係で、シンプルかつ王道なハッピーエンド作品は今後も減っていくのかもしれない。と週刊実話WEBは報じた。
編集者:いまトピ編集部