2025/2/3 14:47

『代ゼミ』全国で6校まで減少、『東進ハイスクール』一強の理由

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今月、東京・新宿区の受験予備校「ニチガク」が突然閉鎖となり、運営会社の日本学力振興会が東京地裁に自己破産を申請したことが大きなニュースとなった。2014年には大手予備校の代々木ゼミナールが全国の校舎の7割に相当する約20校舎を閉鎖すると発表し世間を驚かせたが、かつては大量の学生を獲得して隆盛を極めた大手予備校の経営は今、どこも厳しくなっているという。背景には割安な価格で通学不要、いつでもどこでも学べるという強みを持つ「スタディサプリ」をはじめとするオンライン学習サービスの普及や、集団授業に代わり個別のオンライン授業をメインとする東進ハイスクールの台頭があるとされるが、今、予備校業界を取り巻く環境はどうなっているのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
 1990年代の全盛期には3大予備校の駿台予備学校と河合塾の生徒数を足した人数よりも生徒数が多いといわれるほど隆盛を誇った代ゼミは、14年に約20の校舎を一斉閉鎖すると発表。現在、代ゼミの全国の校舎数は6カ所(代ゼミ造形学校除く)で、生徒数は駿台、河合塾、東進ハイスクールよりも少ないとされる。
「どの教室も満席で廊下に次の授業の入室待ちの行列ができていた、かつての代ゼミを知る人には、平日昼間も人が少ない今の校舎をみれば驚くかもしれない」(予備校関係者)
 もっとも、厳しい経営環境は予備校業界全体に共通したことだ。東京大学の合格者数1460人(24年度入試)を誇る駿台予備学校は22年、神奈川県の2校を閉鎖し、県内の校舎は横浜校の1校に。関東エリアでは埼玉県も1校で、東京都は7校、千葉県は3校。全国の校舎数は32カ所。

 そんな旧3大予備校を尻目に成長を続けてきたのが、オンライン授業をメインとする東進ハイスクール・東進衛星予備校だ。前者は直営校、後者はフランチャイズであり、2ブランド合計で全国に1100校以上を展開。予備校業界では最大とみられている。東進を運営するナガセは買収にも積極的で、これまでに四谷大塚と早稲田塾を子会社化している。こうした動きは業界全体にみられ、代ゼミを運営する学校法人高宮学園は2010年、SAPIX運営会社だったジーニアスエデュケーションを買収している。
 従来型の予備校の衰退を招いている要因としては、少子化による大学受験生の減少に加えて、通学不要のオンライン学習サービスの普及もある。大手予備校の高卒者向けクラスの場合、一般的に年間で100万円前後の費用がかかるが、スタディサプリの大学受験講座のベーシックコースは月額2178円であり、映像本数は6教科19科目4万本に上る。合格実績も東京大学、京都大学、早稲田大学、慶應義塾大学といった難関校の名前がみられる。

大手予備校は小中学生に対する教育事業を展開

 現在の予備校業界の状況について、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏はいう。
「河合塾(大学受験科)が29校、駿台予備学校が32校、代々木ゼミナールは15年に20校閉鎖した影響もあり6校となっています。現在は東進ハイスクールが大きな存在となっています。学習塾・予備校は中小規模を中心に経営が苦しいところが増えています。文部科学省『学校基本調査』のデータからの推定値では、1990年に受験浪人による大学入学者は18万人いました。それが、2000年は13.6万人、24年は10万人でした。2000年代以降は『大学は現役で行くもの』との価値観が定着しています。もちろん現役生も学習塾・予備校に通いますが、フルタイムで通う浪人生に比べて低い授業料しか取れません。こうした現役志向は大手予備校も影響を受けています。
 一方、大手予備校は小中学生に対する教育事業を展開するようになっています。代ゼミは10年に中学受験塾のSAPIXを買収しました。河合塾は日能研と事業提携をしていますし、駿台は関西の中学受験塾・浜学園と提携し中学・高校受験塾の駿台・浜学園を展開。首都圏中心のTOMASを運営するリソー教育とも資本業務提携をしています。東進ハイスクールを展開するナガセは中学受験塾の四谷大塚をグループ会社としています。通信添削サービス・Z会などを擁する増進会ホールディングスは15年に栄光ゼミナールを買収しました。今後も、大手予備校・学習塾を中心に業界再編が進んでいくもの、とみています」

ビジネスジャーナルが報じた。

代ゼミは6校まで減少…なぜ大手予備校は苦境?東進ハイスクール「一強」に | ビジネスジャーナル代ゼミは6校まで減少…なぜ大手予備校は苦境?東進ハイスクール「一強」に | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部