『令和ブーム』開催前から完売、20年以来の満員御礼!「最高視聴率66.7%の過去も」
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3月9日から「大相撲春場所」(大阪市・エディオンアリーナ大阪)が始まるが、初土俵から最速で大関昇進を遂げた大の里、元横綱の祖父を持ち昨年の九州場所を優勝で飾った大関琴桜、今年初場所の優勝決定巴戦を制し、横綱に上り詰めた豊昇龍など、新たなスターが登場したことで空前の「令和大相撲ブーム」が起きている。
今回は、平成大相撲の中からファンの度肝を抜いた伝説の取組をプレイバック! 土俵上で繰り広げられた熱い力と技のぶつかり合いをご堪能あれ。
今年の年明けに行われた大相撲初場所は開催前からチケットが完売し、東京・両国国技館で行われた初日は、コロナ禍前の20年初場所千秋楽以来の「満員御礼」となった。
そのため、90年代の「若貴人気」以来の“相撲ブーム”と評判になっているが、相撲担当記者の間で語り草になっているのが、その貴花田(のちの横綱貴乃花)が横綱千代の富士に挑んだ1991年(平成3年)夏場所初日の初対決だ。
全国紙相撲担当記者がこう話す。
「最盛期は圧倒的強さを誇った千代の富士が当時、力士として下り坂にあったことは事実だが、前年には前人未到の1000勝を達成。ファンや相撲関係者らは『まだまだウルフ(千代の富士の愛称)が相撲界をけん引していく』と思っていた。ところが、それを初対決となった18歳9カ月の貴花田が必死に食らいついて寄り切り、前代未聞の大金星を挙げたのです」
ちなみに、千代の富士はこの時35歳。貴花田の父である大関貴ノ花とも対戦したことがあったが、この日の立ち合いでは千代の富士が左上手を取ろうとすると、貴花田が頭をグッと相手の体に付けこれを阻止。止むなく左に回って突き落とそうしたが、その動きと勢いに合わせた貴花田にそのまま押し出されてしまったのだ。
この対戦で貴花田は「平幕力士が横綱に勝利した最年少記録」を更新したが、その劇的な勝利の瞬間を目撃した会場からは拍手と喝采、大きなどよめきが巻き起こった。
敗れた千代の富士はこの時点では進退を明らかにしなかったものの、3日目の貴闘力戦に敗北すると「体力の限界」を理由に引退を表明。「最後に貴花田と当たって若い、強い芽が出てきたな。そろそろ潮時だな」と貴花田戦で世代交代を見せつけられたことを明かしたのである。
また、貴花田が絡む相撲史に残る一戦と言えば、1995年(平成7年)の九州場所で行われた史上初の兄弟による優勝決定戦も忘れてはならないだろう。
前年に兄より一足先に横綱となり四股名を改めた貴乃花は、同場所の14日目まで12勝2敗で兄の若乃花と共に優勝争いのトップに立っていた。
千秋楽では大関若乃花が武双山に、貴乃花が武蔵丸にともに敗れ、12勝3敗同士の史上初の兄弟優勝決定戦が執り行われたのである。
「若貴兄弟は1993年7月の名古屋場所でも優勝決定戦に臨んだが、このときは横綱曙を含む巴戦で、瞬間最高視聴率が66.7%を記録したもののあっけなく2人を破って曙が勝利した。そのためか、空前の若貴ブームの真っただ中で行われた兄弟決戦も瞬間最高視聴率58.2%という、紅白もかくやという関心の高さだったのです」(別のスポーツ紙記者)
場内のあちこちから大きな歓声が上がる中、立ち合いは低い姿勢の若乃花が頭を付け、相手を土俵際まで押し込んだが貴乃花も態勢を立て直す。
ただし、左上手を取った若乃花が再び寄ると、貴乃花は不覚にも膝から崩れ落ちるように土俵に転がったのだ。
決まり手は下手投げ。若乃花が16場所ぶり2度目の優勝を遂げたが、場内には史上初の兄弟対決に熱狂した相撲ファンが投げる座布団が長い時間乱れ飛んだのである、と週刊実話WEBが報じた。
編集者:いまトピ編集部